研究課題/領域番号 |
16J01585
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉浦 伸太郎 熊本大学, 大学院自然科学研究科(理), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 宇宙再電離 / 21cm線 / 電波天文学 / 活動銀河核 |
研究実績の概要 |
宇宙初期に誕生した星や銀河が紫外線を放射し周囲の中性水素を電離することで、宇宙のほとんどすべての水素が電離された時代を宇宙再電離期と呼び、宇宙論的赤方偏移にしてz~10のころに相当する。この時代の中性水素から放射される21cm線を観測する事ができれば宇宙初期の天体の進化が明らかになると考えられており、研究計画に記載したようにこの時期に注目した理論モデルの構築と21cm線の観測データ解析に関する研究を行っている。 本年度においては、まず遠方宇宙での活動銀河核の観測に基づいた光度関数の進化モデルを作成し、さらにそれらの放射スペクトルのモデルを作成した。それらをもとに宇宙再電離期に活動銀河核がもたらす影響を調べ、現在得られている観測から遠方宇宙の活動銀河核の量への制限するという研究を行った。この研究から活動銀河核の放射スペクトルは電離史やガスの温度進化に非常に重要であり、その詳細なモデル化が必要である事を示した。 また、オーストラリアのメルボルン大学に2ヶ月にわたって滞在し、21cm線の観測を主な目的とした望遠鏡MWAのデータ解析について研究を開始した。まず、宇宙再電離期21cm線の主な観測的困難である銀河系や系外銀河のシンクロトロン放射が望遠鏡のシステマティックスや地球の電離層とくみ合わさってどれほど観測が困難であるか学んだ。それらの困難を克服するために、最先端の観測データの較正方法について学び、現地で使われているソフトウェアの実習を行った。今後、データの較正から解析まで通して研究を続けていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた準数値シミュレーションの作成に関して、これまでに国内の研究者と議論をし、作成を開始したものの完成まで至らなかった。主な理由として活動銀河核のモデル作成に予想以上に時間がかかってしまった事や、MWAグループと協力してのデータ解析が予想以上に進んだためにそちらを優先した事などがある。 一方で、メルボルン大学へ滞在し、データ解析の手法を身につけ実際にデータの解析を始める事ができた。さらに、独自のテーマで共同研究を開始した。これは当初の計画を上回る進捗状況である。 以上の進捗状況から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
おもにMWAの観測データ解析に関する研究を行っていく。具体的には21cm線と他の観測との相互相関の計算パイプラインの作成を行う。さらに、当初の研究計画の通り1月までに新たな解析方法を提案し解析パイプラインを作成する。 前年に引き続いて準数値シミュレーションの作成も行っていく。具体的には作成した活動銀河核のモデルを組み込んでその放射の21cm線中性水素の3次元分布への影響をみる。
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