研究課題/領域番号 |
16J01957
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
阿部 巧 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 身体機能 / 認知機能 / 身体パフォーマンステスト / 心理的負担感 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は身体パフォーマンステストを応用することで高齢者の認知機能を評価するための方法を開発することである。2016年度の研究内容および成果は以下の通りである。 1.身体パフォーマンステストによる認知機能評価法“トレイルメイキングペグテスト”と標準化された認知機能評価法であるファイブ・コグ検査、それぞれを受けることの心理的負担感を、質問紙を用いて検討した。高齢者339名のデータを解析したところ、トレイルメイキングペグテストはファイブ・コグ検査に比して有意に心理的負担感が少ないという結果が得られた。また、ファイブ・コグ検査のスコアを基にした認知機能水準により三群(高位、中位、低位)を設定し、心理的負担感を比較した結果、トレイルメイキングペグテストについては群間に有意な差はみられなかった。一方、ファイブ・コグ検査を受けることについては、認知機能低位群が高位群に比して有意に心理的な負担が大きいと感じていることが明らかになった。以上から、身体パフォーマンステストを用いて認知機能を評価することで、被験者の心理的負担を減らせることが示唆された。 2.多角的な視点から身体機能と認知機能との関連性を検討した。下肢筋力評価法によって認知機能との関連性が異なることを国際学会(63rd American College of Sports Medicine Annual Meeting)で、上肢筋力の評価法2種類と下肢筋力の評価法2種類の計4種類の身体パフォーマンステストと認知機能との関連性について国内学会(日本体育測定評価学会)で発表した。以上から、評価要素が同じであっても用いる身体パフォーマンステストによって認知機能との関連性が異なる可能性を見出した。 3.身体パフォーマンステストと認知機能の関連性を縦断的に検討するためのデータ収集をおこなった。 4.新たな調査フィールドを追加することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した計画に沿った形で研究が遂行でき、平成29年度以降につながる身体パフォーマンステストの実施方法と認知機能との関連性についての知見が得られたため。また、体育測定評価学会で発表した内容が優秀発表(第一位)に選ばれたことから、客観的にも評価される研究成果が得られていると判断できるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に収集したデータを基に、身体パフォーマンステストの結果と認知機能との縦断的な関連性を検討していく。また、身体的に虚弱な高齢者における身体パフォーマンステストと認知機能との関連性を調査するためのデータ収集をおこなう。得られた知見については、最終年度の成果として取りまとめ学会発表、論文投稿をおこなう。
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