2015/2016年のデータを用いたATLASでの消失トラックを用いた長寿命チャージーノ探索に関する研究結果は、Moriond 2017 にて初めて発表された。また、2017 年5月にPhenomenology 2017 Symposium において、本研究内容を含むATLAS の超対称性粒子探索結果について自身で発表を行った。その後、解析方法の改善や、ATLAS 外の研究者の利用するデータの整備などを行った上で、2017年12月に論文をarXiv に公開し、JHEPに投稿中である。 解析手法の改善として、レプトンバックグラウンドの推定において、関係のないイベントの分布を推定して差し引き、精度を向上させることができた。また、ATLAS 外の研究者の利用するデータとして、モデル依存のない、標準理論を超えるようなイベントに対する断面積の上限を与えた。95 % の信頼水準で、SR に含まれるようなイベントの断面積の上限は 0.12 fb である。 最終的に、荷電ウィーノの寿命を 0.2 ナノ秒と仮定したとき、直接生成チャンネル探索による上限である荷電ウィーノ 460 GeV で、グルイーノ質量 1650 GeV 以下を棄却した。また、荷電ウィーノとグルイーノの質量差が 100 GeV の領域において、荷電ウィーノ質量 1050 GeV 以下を棄却した。さらに、荷電ウィーノの寿命を 1.0 ナノ秒と仮定したとき、荷電ウィーノ 580 GeV で、グルイーノ質量 1750 GeV 以下を棄却した。また、荷電ウィーノとグルイーノの質量差が 100 GeV の領域において、荷電ウィーノ質量 1200 GeV 以下を棄却した。
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