研究課題
昨年度までの研究結果から、体動センサーを用いた高齢入院患者の臥床時の咳嗽のモニタリングデータの分析において、咳嗽様の波形を示す信号の出現回数は肺炎の既往の無い患者とある患者とで有意な差が無いという結果であった。そこで今年度は誤嚥性肺炎の発症に影響する臥床時不顕性誤嚥を検出することを目的とし、体動センサーと同時に取得した音声データの特徴、そして口腔内のバイオフィルム量と誤嚥性肺炎のリスクとの関連を検討した。肺炎既往あり群は既往無し群に比べ咳嗽の総数に占める連続した湿性咳嗽の割合が有意に高いことが明らかとなった。つまり、誤嚥性肺炎の発症リスクとなる咽頭分泌物の貯留を咳嗽音のモニタリングから推定できる可能性が示唆された。続いて、舌背、歯肉、頬粘膜の3か所でのバイオフィルム量および好気性菌・嫌気性菌によるバイオフィルム量のバランスについて測定した。スワブで採取した検体を用いて回分培養法にてバイオフィルム形成能を測定し、バイオフィルム量とした。経口摂取をしている肺炎既往あり群は肺炎既往無し群に比べて頬粘膜の好気性培養に対する嫌気性培養でのバイオフィルム量が有意に増加していることが明らかとなり、誤嚥性肺炎の発症を高める口腔内の細菌叢の変化を頬粘膜のバイオフィルム量の測定から推定できる可能性を示した。結論として、研究目的とした誤嚥性肺炎の発症に影響する臥床時不顕性誤嚥の検出に、咳嗽音のモニタリングとバイオフィルム量の測定が有用であることが明らかになり、期待通りの進展であったと考える。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Healthcare
巻: 6 ページ: E15
10.3390/healthcare6010015
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