研究課題/領域番号 |
16J02021
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森岡 優菜 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
キーワード | 有機化学 / ペプチド / アミノ酸 / メタノール / 光触媒 |
研究実績の概要 |
特殊ペプチドは通常の翻訳系では利用できない非天然アミノ酸や環構造などの特殊な骨格を含むペプチドであり,生命科学や創薬の発展に不可欠な分子群である.本研究の目的は,光を用いた炭素-窒素結合形成反応を開発することで単純物質と天然由来のペプチドを原料に特殊ペプチドを短段階で直接合成するための手法を提供することである.平成 28 年度は(1) 銀を助触媒として担持した二酸化チタン (Ag/TiO2) 光触媒とメタノールを用いたアミンの N-メチル化反応の機構解明と基質適用範囲の拡大,ならびに (2) Ag/TiO2 光触媒とメタノールを用いた二級アミンのN-メトキシメチル反応の精査の 2 点に取り組んだ. まず Ag/TiO2 光触媒を用いたアミンの N-メチル化反応が,メタノールの脱水素化ならびにイミンもしくはイミニウム塩の生成と還元からなる borrowing hydrogen 機構と同様の機構で進行していることを明らかにした.次に様々な金属を助触媒として担持した二酸化チタン光触媒を用いてアミノ酸の N-メチル化反応を精査した結果, Ag/TiO2 光触媒が様々なアミノ酸の室温ジメチル化に最適な光触媒であること,反応溶媒の pH を11 以上にすると選択的にモノメチル化で反応を止めることができることを明らかにした. さらに Ag/TiO2 光触媒とメタノールを用いた二級アミンのN-メトキシメチル化を促進する電子補足剤を探索したところ,アセトフェノンが電子補足剤として優れた結果を与えることが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた Ag/TiO2 光触媒を用いたアミンの N-メチル化反応の機構解明と,基質適用範囲の拡大,N-メトキシメチル化反応を促進する電子補足剤の同定を達成したため.
|
今後の研究の推進方策 |
下記の 3 点を中心に研究を展開する: (1) アミノ酸の N-メチル化反応における不斉炭素のキラリティー保持率の解明,ならびにアミノ酸およびペプチドを中心とした基質適用範囲の拡大. (2) メトキシメチル化反応とアミノエーテルに対する求核剤の反応による,窒素原子の直接官能基化. (3) 以上の反応を用いた天然ペプチドの直接官能基化.
|