本年度は、1年目と2年目に取得したデータの分析を行い、3回の現地調査を実施した。 1年目と2年目のデータを用いて、同じ児童の1年間の学力の伸びを項目反応理論の等化を用いて、推定した。結果は、多くの児童の学力は伸びており、学力の低かった児童も高かった児童も学力は伸びていた。両学年とも、学力の伸びの平均値は、英語より算数の方が大きかった。一方、両科目とも、標準偏差は、5年生から6年生では小さくなったが、7年生から8年生までは大きくなっており、学年が上がると、学力のばらつきが大きくなったことが分かった。また、児童の個人的な背景や家庭環境による違いは有意ではなかった。一方、学校による違いが有意であった。今後、どのような学校要因が学力の伸び率の差に影響しているのか分析していく予定である。本研究の結果は、日本テスト学会や日本国際開発学会、米国比較教育学会で報告した。今後、論文にまとめて、国内外の雑誌に投稿する予定である。 本年度は、2018年10月から12月にかけて、3年目となる現地調査をマラウイで実施した。2016年度に5年生と7年生であった児童の進級の軌跡を追跡している。また、校長と教員に質問紙調査を毎年実施している。調査対象校において、同じ児童の進級・留年・転校・退学の状態を確認し、進級・留年をした児童に、3度目となる学力テストと質問紙調査を実施した。これまでは学年ごとに学力テストを1種類のみ作成し、同じ学年は統一の学力テストを受験する方式であったが、本年度は、児童の幅広い学力を測定するために、学年ごとに学力テストを3種類(テストA、B、C)作成し、この3種類のテストを児童に実施した。異なるテストを受験しても、児童の学力は、項目反応理論の等化を用いて、推定することができる仕組みにした。今後、結果を分析していく予定である。
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