研究課題
H30年度は超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisにおけるDNA複製進行機構についての解析を進めた。これまでの解析では、複製ヘリカーゼMCMはGINSによって活性促進が見られるものの、GAN/Cdc45はヘリカーゼ活性に影響を与えなかった。また、GINSはMCM、GANだけでなく、複製ポリメラーゼ(PolDと推定される)との結合が見られている一方で、PolDとMCM、GANとの結合は検出できていない。PolD存在下でのGAN-MCM-GINS複合体 (GMG)のヘリカーゼとしての機能を調べたところ、PolDとMCMがGINSを介して相互作用することで、MCMのATPase/ヘリカーゼ活性が促進されることを発見した。これは、GMGとPolDが機能的なレプリソーム構成因子であることを示している。T. kodakarensisのgan遺伝子欠損株は高温致死を示すことを以前報告したが (Nagata et al. 2017)、リコンビナントタンパク質を用いたin vitroにおけるヘリカーゼと融合させた高温DNA合成反応もまた、GMG-PolDにおいて機能し、T. kodakarensisの生育温度範囲である60-90°Cにおいて再現ができたことから、in vitro高温DNA複製系の確立にとってGANは重要な役目を果たすと考えられる(Nagata et al. in preparation)。また、DNA複製進行中に露出した一本鎖DNAを保護すると考えられるReplication protein A(RPA)とレプリソーム構成因子の相互作用を調べたところ、PolDとの特異的な相互作用およびPolDのDNA合成活性の促進が見られた。この促進は、RPAが鋳型DNAの二次構造をほどくことで、PolDのDNA合成活性を補助する働きにも由来すると考えられる(Nagata et al. 2019)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 83 ページ: 695-704
10.1080/09168451.2018.1559722
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/seibutsukagaku/