研究課題/領域番号 |
16J02703
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 さち 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 住宅再建 / ハリケーン・カトリーナ / 東日本大震災 / インド洋津波 / 復興 / 災害 |
研究実績の概要 |
本研究は、マルチステークホルダー(MS)による災害復興が見られるハリケーン・カトリーナ(アメリカ)とインド洋津波(インドネシア)からの復興を研究対象とし、これらが行政に代わり復興をどのように担っているのかを明らかにする事を大きな目的としていた。そのため、各国の復興の枠組を明らかにし、その中にMSを位置付けると共に、これらが都市の再生にどのような影響を与えているか明らかにするため、行政とMSの住宅再建支援事業の地理的分布を把握し、両者の関係を見るものであった。 今年度は、ニューオーリンズ市Lower 9th Ward地区の住宅再建支援NGOの組織や事業に関する分析を行った。まずは市内の住宅再建の状況を概観するため、市内14地区を住宅市場価値と被害の関係から分類した。行政による支給金の配分金額の算出には所有していた住宅の資産価値も考慮されるため、市場価値が低く、被害が大きい地区で復興が遅れる傾向にあった。こうした地区では第三者の支援を必要とする事が予想された。中でも回復が特に遅れ、住宅再建支援NGOが多く活動するLower 9th Ward地区では、10のNGOが活動していた。これらのNGOは組織の規模や特性がそれぞれ異なっており、それぞれの手法に応じてある対象を支援する傾向にあった。個別の活動は価値が高いが、それが地域全体として見た時に不均衡な開発となっている事を分析から明らかにした。 今後は、NGOの関与の仕方が異なるインド洋津波被災地バンダアチェ市を対象に、NGOの活動と事業の展開を見ていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、1) ニューオーリンズ市の調査結果の分析を終えると共に、2)各国の住宅再建の枠組についても資料分析を行う事を予定していた。1)ニューオーリンズ市の調査については、データを整理し、分析結果を雑誌論文で発表する事ができたため、概ね順調に進んでいると言える。また、2) 各国の住宅再建の枠組みについては、二次資料による整理を行う事が出来た。いくつかこれに関連し、追加で情報を集めなければならない点が出てきたため、来年度のインドネシアの調査の際に情報収集を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ケーススタディの対象地としているニューオーリンズ市とバンダアチェ市の内、ニューオーリンズ市での調査を進める事が出来た。次年度は、バンダアチェ市での調査を中心に取り組む予定である。 インド洋津波の被災地バンダアチェ市は、地方政府が弱体化していたため、中央政府が大規模な支援を実施した。よって、現地調査では、バンダアチェ市内のステークホルダーにインタビューを実施すると共に、首都ジャカルタの政府機関の関係者へ聞き取りを行う必要がある。また、住宅再建に関与したNGOや、事業の分布に関するデータを入手する必要があるため、計画局や大学機関から地理情報データを取り寄せる。 最終的に、ニューオーリンズ市と比較分析を行う予定である。
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