研究実績の概要 |
部分溶融実験 部分溶融が変形に及ぼす影響を調べるため、まずD-DIAで静水圧における部分溶融実験を行った。これはどのようなサンプルを用いれば部分溶融度がどれくらいになるか、そして部分溶融したサンプルの変形実験に適したセルを考察するためである。サンプルにはサンカルロスオリビンと玄武岩(JB1)を7wt%混合したパウダーを用いた。実験条件は1200-1300度, 3-4 GPa, 3時間keepした。回収した試料らをFE-SEMによって観察したところ、全ての実験試料においてオリビンの粒界にメルトポケットが確認された。溶融した部分をトレース、解析すると、メルトフラクションは~4.5 %だった。非常に高圧のため幾つかメルトが連結している箇所も確認された。これはYoshino et al. (2007)で報告されているメルトの濡れ角が圧力に依存するという性質と調和的である。 回転ダイヤモンドアンビルセル ダイヤモンドアンビルセルを改良することで、超高圧(100 GPa以上)において大歪の変形実験を可能とする回転ダイヤモンドアンビルセル(rDAC)の開発に着手した。rDACでは従来のダイヤモンドアンビルと同じ方法で加圧し、それに加え上部アンビルは独立して回転するようになっている。これによってサンプルには無限に歪(ねじり変形)を加えることができる。歪速度に関しては新しく開発したギアボックス(製作PRETECH)によってコントロールできる。実現できる歪速度は10^-6-10^-3 (s^-1)である。rDACを用いた変形実験はSPring-8において行われ、X線ラミノグラフィーによって変形するサンプルのその場観察が可能である。すでに137 GPaでの超高圧大歪変形実験を成功させた。以上の開発についてはすでにまとめられ論文に出版されている(Nomura, Azuma et al., 2017)。
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