現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度までの研究から、VI型キネシン-14 であるKCBP が試験管内と細胞内の両方でマイナス端方向へ長距離歩行することを見出した (Jonsson, Yamada et al., 2015. Nature Plants)。そこで、昨年度はさらに詳細な解析を進め、KCBPが核と葉緑体の輸送を担う分子モーターであることを同定した。核の輸送は細胞質ダイニンの代表的な機能の一つであり、この結果はキネシン-14がダイニン様の機能を担うモーターであるという仮説を支持している。これらの成果は論文としてまとめ、J Cell Biol誌に投稿し、受理された(Yamada et al., 2017 JCB.)。 キネシン-14の一つであるKCBPの機能は明らかとなったものの、キネシン-14サブファミリーの中にはまだ機能が明らかにされていない遺伝子が複数存在する。それらがマイナス端方向輸送を担っている可能性を検証するため、他のキネシン-14についても解析を行った。 KCHはアミノ末端側にCHドメインを持つことで特徴付けられるII型キネシン-14である。シロイヌナズナやタバコ培養細胞、イネ等を用いた研究から、KCHは微小管とアクチンの両方に結合する活性を持つことが報告されている。しかしながら、高い遺伝子重複が問題となりその機能は未だ解明に至っていない。比較的遺伝子重複の少ないヒメツリガネゴケでKCHの局在解析、表現型解析を行ったところ、細胞先端の微小管に局在すること、核の輸送と細胞伸長に寄与することが明らかとなった。今までの報告から、細胞伸長には微小管とアクチンの両方が必要とされること、KCHが微小管とアクチンの両方に結合する活性を持つことから、KCHは核の輸送を担うとともに微小管とアクチンを架橋することで細胞伸長に寄与するキネシンであるというモデルを提唱した(現在論文投稿中)。
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