研究課題
本年度は、高効率かつ正確性の高い新規SNP改変技術の確立に先立つ技術基盤について整備するために、以下の通り研究を実施した。本研究の新規SNP改変法は、ゲノム上の任意の配列を切断できる人工ヌクレアーゼとマイクロホモロジー媒介末端結合(Microhomology mediated end joining: MMEJ)修復を利用することによって高効率かつ簡便にSNP改変を導入する。MMEJは、DNAの二本鎖切断(Double Strand Break: DSB)を修復する経路の一つだが、その効率については活性化できる余地が残っていた。そこで本研究では、ヒト培養細胞においてMMEJ修復の関連遺伝子を過剰発現することによって、MMEJ修復に関連した遺伝子改変技術の高効率化を実現した。まず、ヒト培養細胞を用いたレポーターアッセイを用いてMMEJ修復を活性化する遺伝子についてDSB修復に関連すると考えられる10以上の遺伝子をスクリーニングした結果、EXO1がMMEJ修復効率を約2倍活性化することが明らかになった。さらに、EXO1の過剰発現によるMMEJ修復経路の活性化を通じて、遺伝子改変技術の効率が上昇することを確認した。本研究室では、既にMMEJ修復を利用した簡便かつ汎用性の高いノックイン法について発表していたため(PITCh法)、EXO1の過剰発現によって同法が高効率化することを証明した。結果として、ヒト培養細胞へのPITCh法の適用時にEXO1を過剰発現させると、ノックイン効率がおよそ1.5倍上昇することが分かった。本研究によって確立された高効率化技術に関しては、2016年11月にBMC genomics第17巻1号に論文として掲載された。この手法の開発によって、MMEJ修復を利用した新規SNP法の基盤整備を完了したため、今後本法のSNP改変への応用を進める計画である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Bioengineered
巻: - ページ: -
10.1080/21655979.2017.1282018
BMC Genomics
巻: 17 ページ: -
10.1186/s12864-016-3331-9