研究課題
1.ハーフメタル強磁性体上CrO2上での超伝導体薄膜作製及び評価本年度はCrO2上のNb薄膜の成長様式を決定し、薄膜作製装置の改良を行なった。CrO2の表面清浄化を行うために電子衝撃加熱ステージを備えたマニピュレータの建設と動作チェックを行なった。2.ハーフメタル強磁性体CrO2の熱ゆらぎによるスピン偏極率減少の起源解明CrO2のエネルギー分解したスピン偏極率の詳細な温度変化測定から、昨年度発見した電子・スピン状態の温度変化について、温度領域を拡大して測定することにより詳細な温度変化を明らかにした。この結果は、ハーフメタル特有の多体相互作用によるものと考えられる。さらに観測されたスピン偏極率の減少の起源を検証するためにバンド構造の観測を行ない、該当する波数空間で期待される電子構造の変化を観測することに成功した。このハーフメタル特有の多体相互作用がハーフメタル物質において普遍的に生じるか否かを検証するために、別のハーフメタル強磁性体候補物質であるCoS2にも拡大して研究を開始した。現在までにCoS2の3次元的なフェルミ面、バンド構造、及びスピン構造を観測することに成功し、電子相関を取り入れていない第一原理計算から予想される電子構造との相違点があることを明らかにした。3.トポロジカル超伝導体候補物質NbxBi2Se3の電子状態研究本年度はトポロジカル超伝導体候補物質NbxBi2Se3の共同研究にも参加しARPESによりトポロジカル状態の検証を行った。Nbドープ量を増加させるとx=0.25以上でHc2が急激に大きくなるとともに結晶構造がBiSe構造に変化することを明らかにした。さらに、x=0.25の試料に対する角度分解光電子分光測定によって表面ディラックバンドを観測し、トポロジカルに非自明な状態が維持されていることを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
1.ハーフメタル強磁性体上CrO2上での超伝導体薄膜作製及び評価CrO2上のNb薄膜の成長様式が2次元的であると解明した。さらにCrO2の表面清浄化を行うための電子衝撃加熱ステージを備えたマニピュレータを建設し動作チェックを行った。2.ハーフメタル強磁性体CrO2の熱ゆらぎによるスピン偏極率減少の起源解明80 K以上の温度でCrO2が示すスピン偏極率の減少について、温度領域を拡大して測定することでそのスピン脱偏極の起源がハーフメタル特有の多体相互作用であることを明確に示すことに成功した。この結果は学術論文にまとめ現在投稿中である。3.NbxBi2Se3の電子状態を解明し、x=0.25のBiSe構造を持った試料においてトポロジカルに非自明な状態が維持されていることを明らかにした。この結果は国際科学雑誌Physical Review Bから出版された。以上より当初の計画以上に研究が進展している。
1.ハーフメタル強磁性体上CrO2上での超伝導体薄膜作製及び評価電子衝撃加熱ステージを備えたマニピュレータの動作確認によって見つかった不具合について原因を特定し対処する予定である。さらにCrO2上にNbを島状成長させるためにNbの低温蒸着や、Ptバッファー層の導入を行う予定である。2.CrO2の電子状態の温度変化を高分解能角度分解光電子分光によって調べる。実験は放射光施設Photon Factoryで行い、3次元的なフェルミ面及びバンド構造の温度変化を詳細に決定することでハーフメタル特有の多体相互作用による電子状態の変化を波数空間分解して明らかにする。さらに、昨年度より進めているハーフメタル強磁性体候補物質CoS2の電子状態研究を進める。すでに観測に成功した電子構造を電子相関を取り入れた電子構造計算と比較することで、電子相関を取り入れていない第一原理計算との相違点ついて考察を進める。そのために岡山大学Jeschkeグループと共同研究を進める予定である。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 ページ: 010301
10.7567/JJAP.57.010301
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena
巻: 220 ページ: 46-49
10.1016/j.elspec.2017.02.003
Physical Review B
巻: 96 ページ: 041106(R)
10.1103/PhysRevB.96.041106
巻: 95 ページ: 180503(R)
10.1103/PhysRevB.95.180503
http://film.rlss.okayama-u.ac.jp/member/fujiwara/fujiwara.html
http://film.rlss.okayama-u.ac.jp/publication.html