研究課題
本年度はマヨラナフェルミオン生成の基盤となるハーフメタル候補物質CrO2およびCoS2のスピン角度分解光電子分光(SARPES)測定を行うことで、両物質の電子状態に関する研究を行った。CrO2の研究では、低温でフェルミ準位(EF)より高エネルギー側にあるマイノリティスピン状態が、熱ゆらぎによって誘起された強相関効果によってEF上に状態を持つことを実験的に明らかにした。先行研究では、マジョリティスピンバンド構造がUeff < 1 eVのバンド構造計算の結果と実験結果がよく一致することから、比較的小さな電子相関でCrO2の電子構造を理解できることが示唆された。これらの結果はスピンの向きに依存して電子相関の大きさが異なることを示唆しており、ハーフメタル特有の多体効果を理解する上でスピン依存電子相関効果を考慮することの重要性を示唆していると解釈できる。CoS2の研究では、スピン依存電子相関効果に関する知見を得るために放射光ARPES及び高分解能SARPESを行った。実験で得られた電子状態をバンド計算と比較すると、Co t2gバンドがバンド幅及びバンド中心のエネルギーがバンド計算から大きく外れることを見出した。さらに超高分解能SARPES測定によってEF近傍のegバンドのスピンキャラクタを決定した。マジョリティスピンegバンドについては交換分裂を74%縮めたGGA計算の結果で概ね再現できたが、マイノリティスピンegバンドはGGA計算に比べてバンド幅が狭くなっており、電子相関効果による有効質量の増大が示唆された。これはCoS2はCoやNi等の通常の強磁性金属よりも2倍以上大きなスピン依存電子相関を持つことを明らかにした。これらの研究成果はハーフメタルの物性を理解する上でスピン依存電子相関効果の重要性を示す初めての成果であり、ハーフメタルの機能性向上に貢献することが期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 9 ページ: 5376
10.1038/s41598-019-41906-7
Physical Review Letters
巻: 121 ページ: 257201
10.1103/PhysRevLett.121.257201