我々はすばる/Hyper-Suprime Cam (HSC)探査の100 deg2に渡る深い撮像データを用いて、赤方偏移4-6の遠方銀河を約50万個選択した。このサンプルはこれまでの研究よりも銀河数が2倍以上で、世界最大のサンプルである。この大規模なサンプルを用いて角度相関関数を計算したところ、これまで理論的には示唆されていながら観測データからは見えていなかった10-90秒スケールの相関関数の超過を初めて発見することができた。得られた角度相関関数をhalo occupation distribution (HOD)モデルの予言と角度相関関数を比較し、ダークマターハロー質量とダークマター降着率を見積もった。結果として、星形成率とダークマター降着率の比は、ハロー質量には依存するが赤方偏移進化は見られないことが分かった。さらに本研究で得られた赤方偏移進化しない星形成率・ダークマター降着率比は、構造形成モデルと組み合わせると星形成史の赤方偏移進化を説明できることが分かった。本研究内容を27ページの主著論文にまとめ、投稿した。 さらに我々はすばる/Hyper-Suprime Cam (HSC)探査で見つかった約1000個のLya emitter (LAE)とSpitzerの赤外撮像データを組み合わせて、赤方偏移5-7銀河の静止系可視輝線の強度を調べた。得られた可視輝線強度をこれまでのALMA CII158um観測結果と合わせて光電離モデルで解析したところ、Lya輝線等価幅の大きい銀河ほど金属量が小さいという結果が得られた。本研究内容を21ページの主著論文にまとめ、投稿した。 以上の研究を通じHSCデータの解析に習熟し、同時に複数の共同研究を推進し、多数の共著論文を執筆した。
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