研究実績の概要 |
本研究では、mTORC1の下流で引き起こるFOXK1, FOXK2, PBX2等の転写因子の脱リン酸化機構を解明する。前回報告した通り、生化学的手法による脱リン酸化酵素の道程は困難であることから、CRISPR/Cas9 sgRNAライブラリーを用いた遺伝学的手法にシフトした。 まず行なったのはスクリーニング系の立ち上げである。我々が選び出したいのは目的の脱リン酸化酵素がKOされた細胞で、言い換えるとInsulinを与えてもFOXK1が脱リン酸化されず、その下流であるCCL2の発現が上昇しない細胞である。このためにはCCL2の発現を可視化してモニタリングできることが好ましい。そこで我々はHeLa細胞のCCL2プロモーター下にEGFP遺伝子をKIし、CCL2の発言に応じて細胞が光るように設計した。また、CCL2はTNF-aの下流でも制御されているので、その影響を排除するために同時にRel-A KOを行なった。得られた細胞をFACSを用いて評価したところ、WTと比べてKIした細胞ではEGFPの発現増強が観察されたが、Insulin投与による発現増強は観察されなかった。この原因としては、まだ遺伝子の中にPGK-puroRが残っていることや、そもそもCCL2プロモーター下にEGFPをいれるという設計が悪かった可能性もあるため、これらの改善が必要であると考えられる。 また、CRISPRの手法を用いてFOXK2またはPBX2のKOマウスの作成にも着手している。pCAG-EGxxFPを用いて最適のgRNAの選択まで行なった。
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