研究課題/領域番号 |
16J03565
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中島 康貴 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー / 金属 / ポリマー |
研究実績の概要 |
3年計画の第2年度である平成29年度は、フェムト秒レーザーを用いたフレキシブル材料と金属の複合構造作製技術の確立を主に遂行した。具体的には、(1)フェムト秒レーザー照射による光還元と光重合の誘起を用いた、金属/ポリマー複合構造作製および(2)作製構造を用いた力学センシングを達成した。(1)に関しては、銀イオンと弾性ポリマーの混合溶液へのフェムト秒レーザー照射により、銀/弾性ポリマー複合構造を作製可能であることを実証した。銀/弾性ポリマー複合構造の生成は、顕微鏡観察および元素分析を用いて明らかにした。さらに、同構造が導電性を有することを実証した。フェムト秒レーザーを用いた金属/ポリマー複合構造の作製に関する研究事例はいくつかあるが、フレキシブル/ストレッチャブルデバイスにおいて広く活用できる、金属と弾性ポリマーの複合構造を作製した事例は本研究が初である。(2)に関しては、生体刺激における細胞の挙動の観測手法構築が必要であると考え、作製した複合構造の導電性および弾性/柔軟性を活用し、作製構造へのエアブローにより作製構造の抵抗値が増加することを利用した圧力センシングを達成した。エアブローによる作製構造の湾曲および伸長が抵抗値増加の原因であると推察する。本センシングでは約3kPaの圧力値に対して5-10%の抵抗値変化を示した。センシングに関する過去の研究事例と比較しても本研究にて得られたセンシング感度は十分に高いことから、センシング手法として細胞の挙動の観測に活用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェムト秒レーザーを用いた弾性ポリマーと金属の複合構造作製技術を確立し、電気的導電性を有する複合構造の作製に成功した。さらに、生体刺激における細胞の挙動の観測手法構築に向け、同構造を用いた圧力センシングを達成した。以上の結果から、全体として概ね計画通りに研究を遂行できたと考え、順調に進展しているものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、フェムト秒レーザーによる金属薄膜の周期配列ナノ構造作製およびそれを用いた細胞刺激を予定している。周期配列ナノ構造を利用した細胞刺激自体の達成に加え、導電性を有する構造作製の必要性から、フェムト秒レーザー照射によるポリマーと金属の複合構造の作製に関しても研究を遂行している。
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