研究実績の概要 |
本申請では,始原的エコンドライトという太陽系始原物質であるコンドライト隕石と溶融・分化を経験したエコンドライト隕石の両方の特徴を持つ隕石グループに対して岩石鉱物学的研究を行なっている.現在,始原的エコンドライトの1グループであるbrachiniteとその関連隕石であるbrachinite-like 隕石についての研究を進めている.前年度まではbrachinite-like隕石の観察・分析のみにとどまっており,それらの隕石がbrachiniteとどのような関係を持つのかについて言及できていなかった.しかし,本年度はbrachiniteサンプルとしてReid 013隕石の薄片試料を自作し, NASAの南極隕石試料Elephant Moraine 99402/99407, Allan Hills 84025, Lewis Cliff 88763隕石の貸与を受けた.これら5個のbrachiniteサンプルを観察・分析することで,これまでのbrachinite-like隕石についての結果をbrachiniteの結果と比較することが可能となった.その結果,brachiniteとbrachinite-like隕石中のカンラン石の結晶方位に二種類の異なる定向配列パターン(カンラン石結晶のb軸が一方向に集中するパターンとc軸が集中するパターン)が存在することを発見した.これらのパターンの違いは形成環境の違いを反映していると考えられる.今後はこの形成環境の違いを明らかにするべく,研究を進めていく予定である.
|