本研究では、太陽系始原物質であるコンドライトと溶融・分化を経験したとされるエコンドライトの中間的隕石グループ、始原的エコンドライトを対象としてきた。中でも、母天体での分化過程が強く残っていると考えられるブラチナイトというグループに着目している。これまで、多くのブラチナイトやその関連隕石を岩石鉱物学・地球化学的側面から分析を行ってきた。本年度も新たに3つのブラチナイトの観察・分析を行った。その結果をこれまでの成果と合わせた結果、ブラチナイトとその関連隕石が共通して隕石中のかんらん石が定向配列を示すことが明らかとなった。さらに、その定向配列には2種類の異なるパターンが存在することがわかった。この結果と地球化学分析結果(特にCr同位体組成)を組み合わせ、ブラチナイトの母天体の内部構造を2種類のモデルとして提唱した。そして、その内容は博士論文としてまとめた。また、鉱物科学会年会で口頭発表、国際雑誌Meteoritics and Planetary Scienceに投稿・受理された。
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