研究課題
1.マウス下肢リンパ浮腫モデルを作製するために、リンパ節切除、bone morphogenetic protein (BMP)-9を投与した。リンパ節切除後1週間ほどで、通常切除部周囲に迂回路が発達し、これを通って下肢のリンパは中枢へ排泄される。この迂回路は、リンパ節切除後1週間ほどで出現すること、劇的に出現すること、平滑筋細胞をもつことより、導出リンパ管と考えられる。血管新生の概念とは異なり、リンパ管の傷害後は、元々存在する導出リンパ管がリンパ排泄経路の再建に大きな役割を果たすと考えられる。100ng/dayのBMP-9全身投与によって、リンパ節切除部周囲の迂回路はほとんど観察されなかった。迂回路の出現を阻害する意味では、BMP-9の投与は効果的と考えられる。一方で、BMP-9を投与しても、浮腫の程度は軽度であった。これは、リンパ節切除とBMP-9の投与だけでは、間質のリンパ排泄までは十分に阻害できていないためと考えられる。間質の流れを阻害することができれば、より重症度の高い浮腫モデルが作製可能と考えられる。このモデルを確立させ、新規治療の効果判定や下部に記載した線維化の解明へ発展させたいと考えている。2.長期間浮腫の持続するモデル確立後、浮腫部位の炎症と線維化の機序解明を実施予定である。継時的に浮腫モデルの組織変化を観察することで、どのように線維化のプロセスが進行するかを明らかにでき、関係するバイオマーカー等の探索を目指す。3.リンパ浮腫発症予防方法の検討として、リンパ管内皮細胞の3次元培養(Nishiguchi, 2013、 Asano 2015)を行い、集合リンパ管の作製を目指している。現段階では、3次元培養を行ったサンプルの組織学的観察方法を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
今年度はリンパ浮腫が動物で作製困難な理由を明らかにした。また、リンパ浮腫発症予防についての実験も進行中であり、来年度も順調に進むと考えられる。
リンパ浮腫部位での形態学的特徴を明らかにする。また、線維化に関連するバイオマーカーの探索を行い、治療への応用可能性を探る。再生医療として、培養下で作製したリンパ管を生体に移植し、リンパ節切除部位でのリンパ管再建を図る。
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Wounds
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