研究課題
本研究では好熱性紅色硫黄光合成細菌Thermochromatium(Tch.) tepidum由来の光捕集反応中心複合体LH1-RCの結晶を作製、X線結晶構造解析することにより結晶構造から光捕集・光電変換・電子伝達過程の作動原理の解明を目指すとともに、2価金属イオンとの相互作用機構の解明を行う。Tch. tepidum 由来の反応中心RC (reaction center)のCサブユニットのヘム基近傍に、水溶性電子伝達タンパク質HiPIPから電子が引き渡されることが報告されている。しかし、この過程がどのように行われているかはわかっておらず、LH1-RCとHiPIPとの共結晶化の報告もなく、実際HiPIPからRCへの電子伝達がまだ証明されていない。本年度は、HiPIPとLH1-RCの共結晶を作成・結晶構造解析する予備実験として、結晶構造からHiPIPからRCへの詳細な電子伝達機構の解明を目指した。個別に精製したTch. tepidum 由来HiPIPとLH1-RCを化学量論的に各種割合で混合し、pHを調整、当研究室が確立した結晶化方法を改良することで共結晶の作製を試みた。共結晶の作製にはLH1-RCとHiPIPを混合する化学量論比、pH、bufferの種類が重要な要因になっていることがわかった。得られた途中のスクリーニング結果を日本生物物理学会でポスター発表した。多くの研究が報告されているようにHiPIPはLH1-RCのCサブユニットのヘム鉄近傍に存在する可能性が示唆された。また、タンパク質の共結晶は、静電的な相互作用で結合していることが数多く報告されているが、本タンパク質複合体は疎水相互作用が支配的であると考えられる。現在は、このHiPIPがCサブユニットに対して同様な方向で相互作用をしているのかを調べるために詳細な解析を行っている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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