今年度は以下の研究を行った。 1)MeCP2欠損およびmiR-199a欠損マウスのアストロサイト培養上清(ACM)の解析;最近、MeCP2はニューロン以外の神経系細胞においても発現し機能していることが報告され、MeCP2欠損グリア細胞は非自律的にニューロンの正常な樹状突起形成を阻害することが示された。実際にMeCP2欠損グリア細胞からACMを調整し正常ニューロンに添加・培養したところ、確かにニューロンの樹状突起形成が阻害された。そこで、miR-199a欠損マウスからアストロサイトを単離・培養し、ACMを調製した。調整したmiR-199a欠損ACMを正常ニューロンに添加し培養したところ、ニューロンの樹状突起形成が阻害された。 2) miR-199a過剰発現MeCP2欠損アストロサイトACMの解析;miR-199aがMeCP2の下流でアストロサイトの機能を制御しているかどうかを明らかにするため、MeCP2欠損グリア細胞にmiR-199aを過剰発現するレンチウイルスを感染させ培養しACMを調整した。調整したmiR-199a過剰発現MeCP2欠損ACMを正常ニューロンに添加し培養した。その結果、MeCP2欠損ACMの添加でみられたニューロンの樹状突起形成の阻害がmiR-199aの過剰発現により改善した。 以上本年度の解析により、miR-199aはMeCP2の下流でアストロサイトの機能を制御している可能性が示唆された。
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