研究課題/領域番号 |
16J03865
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野崎 梢平 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 一次繊毛 / BBSome |
研究実績の概要 |
一次繊毛は動物のほぼ全ての細胞が持つ細胞膜から突出した毛のようなオルガネラである。繊毛には様々な受容体やシグナル伝達に関与するタンパク質が存在しており、その異常は繊毛病を引き起こす。 BBSomeの異常は繊毛膜に局在する受容体の局在が異常になることから、BBSomeは繊毛膜受容体の輸送に重要な働きを持っていると考えられている。しかし、BBSomeを介して受容体がどのように輸送されるのかは不明であった。 所属研究室ではこれまでに、観るだけで分かるタンパク質間相互作用解析法(VIPアッセイ)を用いてBBSomeの構築様式を解明してしていた。当該年度では、VIPアッセイを用いてBBSomeのサブユニットであるBBS1の相互作用に基づいた機能解析を行った。BBS1はBBS7やBBS9と相互作用してBBSomeに組み込まれるだけでなく、低分子量GTPaseであるARL6とも相互作用する。BBS1の欠失変異体を用いて更に詳しく解析をすると、ARL6やBBS7はBBS1のN末端領域を介して、BBS9はBBS1のC末端領域を介して相互作用することが分かった。さらにARL6との相互作用のみが損なわれるBBS1の点変異体を得ることができた。BBS1ノックアウト細胞を樹立したところ、BBSomeは繊毛に局在できず、BBSome依存的に繊毛から排出されるGPR161が全く排出されなくなることが分かった。BBS9と相互作用できないBBS1の変異体をノックアウト細胞に発現させても、これらの表現型は回復しなかったが、意外なことに、ARL6と相互作用できないBBS1の点変異体を発現させるとこれらの表現型は回復した。更なる相互作用解析の結果、BBS1とARL6の相互作用はBBS9存在下で増強されることが分かり、BBS1点変異体はBBS9存在下ではARL6と相互作用できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、以前報告したBBSomeの構築様式に基づいてBBS1の相互作用に基づいた機能解析を行った。BBS1はBBS7やBBS9、ARL6と相互作用するが、それらとの相互作用ドメインをVIPアッセイを用いて迅速に決定することができた。また、レスキュー実験において、ARL6とBBS1の相互作用が損なわれた変異体ではBBS1ノックアウトの表現型を回復できないと考えていたが、実際には回復することができた。これについて、BBSomeサブユニットが存在している細胞内ではARL6とBBS1変異体が相互作用できるという可能性について検討した。この際に、所属研究室で確立していた多対多の相互作用解析法を用いることで、ARL6とBBS1の相互作用がBBS9存在下で増強されることを迅速に発見することができた。このように、VIPアッセイによる相互作用解析とノックアウト細胞を用いた表現型解析を組合せてBBS1の機能を検証できていることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、以下のことを明らかにする。 1.BBSomeの他のサブユニットについて、相互作用に基づいた機能解析をする。BBS5は他のBBSomeのサブユニットと異なり、PHドメインを2つ持っている。そのため、BBS5はPHドメインを介した脂質との相互作用によって、BBSomeの機能を調節する可能性が考えられるが、BBS5の機能は不明である。そこで、BBS5の欠失変異体とBBS5ノックアウト細胞を用いて、BBS5の機能解析を行う。 2.BBSomeはモータータンパク質と直接相互作用することはないため、他のタンパク質を介してモータータンパク質と相互作用し、受容体の輸送を担っていると考えられる。そのBBSomeとモータータンパク質のアダプターとして考えられるタンパク質をVIPアッセイを用いて探索する。
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