研究課題
Gタンパク質共役型受容体キナーゼ(G protein-coupled receptor kinase : GRK)は、リガンド刺激により活性化されたGタンパク質共役型受容体(GPCR)をリン酸化することで、脱感作へと導くリン酸化酵素として知られてきた。一方で近年では、GRKがGPCR以外の種々のタンパク質をリン酸化し、細胞内シグナル伝達を制御することで、様々な生理応答に関与することが明らかになってきている。申請者は昨年度までに、GRKが、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)や骨形成タンパク質(BMP)により活性化されるシグナル伝達を制御する分子であるSmadと相互作用することを見出した。そこで今年度は、GRKが、これらのシグナル伝達に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。様々な検討の結果、GRKがBMP刺激によって誘導されるSmad1/5のリン酸化とBMPの標的遺伝子Id1の発現誘導を促進することが明らかとなった。さらに、GRKがBMPによる骨芽細胞の分化を促進することを見出した。以上のことから、GRKがBMPシグナルを正に制御すると考えられた。また、GRKがSmad分子の翻訳後修飾を制御していることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に記述した実験計画にしたがって、順調に進んでいる。
今後は、GRKがBMPシグナルを制御するさらに詳細なメカニズムの解析、in vivoでのBMPシグナルにおけるGRKの役割を明らかにしていく。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 7812-7812
10.1038/s41598-017-07573-2.
http://chudoku.phar.kyushu-u.ac.jp/