Gタンパク質共役型受容体キナーゼ(G protein-coupled receptor kinase : GRK)は、リガンド刺激により活性化されたGタンパク質共役型受容体(GPCR)をリン酸化することで、脱感作へと導くリン酸化酵素として知られてきた。一方で近年では、GRKがGPCR以外の種々のタンパク質をリン酸化し、細胞内シグナル伝達を制御することで、様々な生理応答に関与することが明らかになってきている。 申請者は昨年度までに、(1) GRKが、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)や骨形成タンパク質(BMP)により活性化されるシグナル伝達を制御する分子であるSmadと相互作用すること、(2) GRKがBMPシグナルを正に制御することで、BMPによる骨芽細胞の分化を促進すること、(3) GRKがSmad分子の翻訳後修飾を制御していること、を明らかにしていた。 本年度はまず、GRKのキナーゼ活性がBMPシグナルの制御に重要であるかどうかについて検討した。その結果、GRKのキナーゼ活性はBMPシグナルの制御に必要ではないことが明らかになった。また、GRKはSmad分子の翻訳後修飾を制御することで、Smad分子のタンパク質量を減少させることを明らかにした。
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