研究課題
【研究目的】本研究では、細胞間チャネルであるギャップ結合 (gap junction:GJ) ならびにその構成タンパク質であるコネキシン (connexin:Cx) の機能を介した生体恒常性維持の破綻と疾患との関係を、特に (1) がんおよび (2) がんに伴う悪液質に関して解明することを目的とした。【研究実績】(1) 悪性中皮腫細胞株H28より樹立したCx43強制発現株を用いたin vitroの検討により、Cx43がJNKの活性化を介してBaxのミトコンドリア移行を促進することでアポトーシスを引き起こすことを見出し、本研究成果を原著論文として発表した。さらに、本研究成果も含め、Cx43を介したシグナル伝達ががん細胞の増殖や転移に与える影響について、最新の情報も取り入れて総説としてまとめた。(2) 本研究で用いるがん悪液質モデルは、ヒト胃がん細胞株85As2をBALB/c系ヌードマウス(♂、8週齢)の皮下に注入移植することで作製した。本モデルは細胞移植2週間後より悪液質症状(体重減少、摂餌量低下、骨格筋量減少および血漿中サイトカインの上昇)を認めることから、移植2週間後のマウスの脳を採取しメタボローム解析を行った結果、ATPやGTPが減少し、一方でATPやGTPの分解代謝物であるヒポキサンチンや尿酸の増加を認めたことから、プリン代謝が変化していることが示唆された。プリン代謝に関連するキサンチンオキシダーゼ活性は、コントロールと比較して1.8倍程度増加していた。さらに、視床下部中のアストロサイトマーカーの発現量がコントロールと比較して1.5倍程度の増加を認めたことから、アストロサイトが活性化していることが示唆された。アストロサイトはCx43を豊富に発現することから、今後アストロサイトの活性化に対するCx43の寄与を検討する予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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