研究課題/領域番号 |
16J04184
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 拓郎 北海道大学, 大学院生命科学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | ヘテロ複核金属錯体 / カルボキシラート錯体 / 架橋配位子 / パラジウム / コバルト / ニッケル / 酸化的カップリング |
研究実績の概要 |
計画初年度にあたる平成28年度には、まず研究の基盤となる外輪型二核遷移金属錯体のうち、ヘテロ複核遷移金属錯体を合成することに関して種々検討を行なった。不斉触媒反応へ展開する第一歩として、まずアキラルな架橋配位子を有するヘテロ複核遷移金属錯体の合成を実施した。検討の結果、架橋配位子が2つ置換したパラジウム/コバルトおよびパラジウム/ニッケル複核カルボキシラート錯体の合成に成功した。合成したこれらの錯体がヘテロな組み合わせでできていることに関しては、質量分析における同位体ピークパターンの解析と単結晶X線結晶構造解析により証明することができた。また、錯体の反応性を考慮して架橋配位子が1つのみ置換したヘテロ複核金属錯体の合成も同時に試みた。しかしながら、望みとするモノ置換体を合成することができなかった。これは、母核錯体の反応性と配位子の分子構造の相性に問題があるためと推測している。そこで2年目では、合成が容易であるジ置換体に関してより高活性な遷移金属錯体を実現するために、電子求引性の置換基を有した架橋配位子の開発を行なう。続いて、創製したヘテロ複核遷移金属錯体に関してその活性を評価するために酸化的カップリング反応について検討を行なった。本検討の結果カップリング反応の成績体が検出されたことから、この反応系に対して本錯体が適用可能であることが明らかとなった。現段階では十分な収率かつ選択性でカップリング体が得られていないため、今後より詳細な条件検討に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたアキラルなヘテロ複核金属錯体の創製を進め、反応に適用可能か検討を行なった。予想に反して、十分な触媒活性が得られていないが、この知見を活かして新たな架橋配位子の設計にも取り組んでおり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた配位子では錯体の活性を引き出すのに不十分であるため、新たな配位子を設計・合成し、種々のヘテロ複核金属錯体の創製を進めていく。
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