研究課題/領域番号 |
16J04213
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡村 和樹 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | ランダムウォーク / 大偏差原理 / ランダムウォークレンジ / パーコレーション / ディリクレ形式 |
研究実績の概要 |
1 ランダムウォークのパーコレーションによる拡大した過程の性質、大数の法則などを調べた。相関が強い確率過程になっていることが特徴である。レンジの境界のサイズと関連していることがわかった。論文にまとめ投稿した。 2 Noam Berger、Chiranjib Mukherjeeとの共同研究で、相関を持ちうるパーコレーションクラスター上のランダムウォークの、レベル2の(プロセスレベルの)大偏差原理を証明した。相関を持ちうるパーコレーションクラスターとしては、Gauss自由場のlevel setや、ランダムクラスターモデルの無限体積極限、ランダムインターレースメントを含む。また、Bernoull型パーコレーションにも適用可能である。論文にまとめ投稿した。 3 Wiener sausageと呼ばれる対象がある。 これはランダムウォークの訪問点の個数の自然な(連続空間上における)類似である。筆者はDirichlet空間上のWiener sausageについて、まずは最も基本的な量である平均の長時間挙動を考察した。離散的な場合、すなわち(再帰的でない)グラフ上のランダムウォークの訪問点の個数の挙動については筆者により過去に得られており、およそそれの連続版の結果と言える。現在論文を準備中である。 4 スペクトル次元がちょうど2のグラフ上のランダムウォークの訪問点の個数の挙動について、大数の弱法則に相当するものを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフとその上のランダムウォークの訪問点の個数の増大度、またその連続版であるDirichlet空間とその上の拡散過程のパスの近傍部分の体積の増大度に関して、現在のところ、想定通りのペースで結果を得ていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
スペクトル次元がちょうど2のグラフ上のランダムウォークの訪問点の個数の挙動に興味を抱いている。これまでに、大数の弱法則に相当するものは得られたが、今後は、強法則に相当するものを得たいと考えている。また、スペクトル次元が2より真に小さいグラフ上でも、先行結果を何らかの形で改良したいと考えている。
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