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2017 年度 実績報告書

新規微小管形成中心タンパク質による減数分裂期染色体分配制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16J04304
研究機関東京大学

研究代表者

山本 昌平  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワード微小管形成中心 / 細胞周期
研究実績の概要

減数分裂期における染色体分配の異常は、不妊やダウン症などの先天性疾患の原因となりうることが知られているが、その原因の究明は遅れている。また、近年、ヒト卵母細胞の減数分裂において紡錘体が不安定化していることが報告されているが、その原因は明らかになっていない。本研究では、卵母細胞における紡錘体形成機構と不安定性の原因の解明を目的とした。そこで、近年卵母細胞の紡錘体形成に機能することが報告されたタンパク質Polo-like kinase 4(Plk4)に焦点を当てた。Plk4は、体細胞における中心体の複製に必須であることが知られているが、紡錘体形成にどのように機能するのかは明らかになっていない。また、Plk4のリン酸化活性が正常な紡錘体形成に必要とされているが、リン酸化活性がどのように働いているのかはわかっていない。
現在の解析により、Plk4が自己凝集する生化学的性質を見出し、さらにその自己凝集が自己リン酸化によって解除されることが明らかになった。同様に細胞内において、Plk4は非リン酸化状態で自己凝集により静的な動態を示すが、自己リン酸化により動的になることがわかった。さらに、過剰に自己凝集するPlk4変異体をヒト体細胞に発現させると、中心体数が異常に増加することがわかった。この結果から、Plk4の自己集合制御は、正常な中心体に重要であることが示唆された。今回明らかにしたPlk4の性質が卵母細胞の紡錘体形成に関与するのではないかと考え、さらなる解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Plk4の解析を進める中で、Plk4の自己凝集の性質とその自己リン酸化制御という予期せぬ発見があった。近年、微小管形成中心タンパク質や微小管結合タンパク質による自己集合の性質は紡錘体形成に関与するという報告が相次いでいるため、Plk4もそれらのタンパク質と同様に紡錘体形成に重要な機能を持つ可能性がある。実際、体細胞においてPlk4の過剰な自己集合を誘導すると、過剰な中心体複製が起こることを明らかにした。現在卵母細胞におけるPlk4の働きを解析中であり、さらなる研究の発展が期待できるため。

今後の研究の推進方策

まず、Plk4の自己凝集が卵母細胞の減数分裂においてどのように機能するのかどうか、Plk4の変異体を卵母細胞に発現させることで検証する。中でも紡錘体形成と染色体分配に影響が出るかどうかを詳細な観察により明らかにする。
また、近年報告されているタンパク質の相転移の概念や実験系を取り入れ、自己凝集するPlk4が試験管内や細胞内でどのようなふるまいを示すのかを詳細に解析する。現在の予備実験において、非リン酸化Plk4が試験管内でnanometerスケールの凝集体を形成することがわかった。これらの性質の詳細な解析とその意義も解析を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 自己リン酸化制御によるPlk4の重合-脱重合が 中心小体複製に重要である2017

    • 著者名/発表者名
      山本昌平、北川大樹
    • 学会等名
      細胞を創る研究会10.0

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公開日: 2018-12-17  

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