研究課題/領域番号 |
16J04376
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
貝塚 剛志 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 樹状突起スパイン / オートファジー / プロテオーム / シナプス / シナプス後肥厚 |
研究実績の概要 |
■幹細胞の神経細胞への分化 樹状突起スパインの形成および刈り込みの過程をin vitroで評価する実験系を構築するため、分化により樹状突起スパインを形成することが報告されていたヒト神経前駆細胞株を入手し、分化実験を試みた。しかしながら、結果として論文で示されていた樹状突起スパイン形成の再現はできなかった。培養期間や細胞の密度、培養皿のコーティングなど、様々な条件を検討したが、後シナプスマーカーであるPSD-95の発現は観察されなかった。また、細胞の生存率や分化パターン(ニューロン様、グリア様細胞への分化割合等)も不安定であり、いずれの点からも樹状突起スパインの形成および刈り込みの過程を評価する実験系には適さないと判断した。
■シナプス後肥厚局在タンパク質の探索 受入研究者とのディスカッションの上、基本的な研究方針として、樹状突起スパインの制御因子をオートファジーに限らずより包括的な観点から探索することとした。樹状突起スパイン制御因子の候補として、樹状突起スパインに存在する巨大タンパク質複合体であるシナプス後肥厚に含まれるタンパク質群に着目した。これらの中から重要な因子の候補を絞り込むため、過去に報告されていたシナプス後肥厚のプロテオミクスのデータに含まれる4000以上のタンパク質を情報生物学的に分析している。またこれとは別に、異なる生理的条件下におけるシナプス後肥厚を精製し、プロテオーム解析を行うことで特定の条件下で増加または減少するタンパク質を探索している。今後は上記の解析で洗い出した因子群の樹状突起スパインへの関与を初代培養神経細胞及び動物の脳を用いて探っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養神経細胞を用いて樹状突起スパイン制御因子をスクリーニングする実験系の構築はうまくいかなかった。そのため「研究実績の概要」の項に記した通り、基本的な研究方針として、樹状突起スパインの制御因子をオートファジーに限らずより包括的な観点から探索することとした。樹状突起スパイン制御因子の候補として、まず樹状突起スパインに存在する巨大タンパク質複合体であるシナプス後肥厚に着目し、この構造体に含まれるタンパク質を解析することとした。シナプス後肥厚の情報生物学的、および生化学的解析の実験基盤はすでに構築できたため、次年度では進展が見込めると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、第一に過去に報告されていたシナプス後肥厚のプロテオミクスのデータに含まれる4000以上のタンパク質を情報生物学的に解析する予定である。第二に、異なる生理的条件下におけるシナプス後肥厚を精製し、プロテオーム解析を行うことで特定の条件下で増加または減少するタンパク質群を同定する予定である。その後、これらの解析で洗い出した因子群の樹状突起スパインへの影響を初代培養神経細胞及び生きたマウス個体の脳を用いて探っていく予定である。
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