研究課題/領域番号 |
16J04519
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
南野 尚紀 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 膜交通 / RAB GTPase / ゼニゴケ / 精子 / 鞭毛 / イメージング |
研究実績の概要 |
1.ゼニゴケ精子形成過程における各オルガネラの動態 ゼニゴケ精子形成過程における各オルガネラ動態を観察するための手法を確立した.その手法を用いた蛍光顕微鏡による観察結果および電子顕微鏡による観察の結果から,精子変態期において,細胞膜や各オルガネラの大規模な分解が起こること,またこの過程にエンドサイトーシスやオートファジーなどの分解系が関与することを示した.この結果について,査読有りの国際誌に投稿し,論文が受理された(Journal of Plant Research, in press). 2.ゼニゴケ精子形成過程におけるRAB GTPaseの機能 RAB GTPaseは輸送小胞の標的膜への特異的な繋留を制御する分子スイッチとしての機能を持つ.雄性生殖器に特異的な発現し,遺伝子破壊株において精子の運動性に異常が見られたRAB GTPaseについて,電子顕微鏡を用いて精子細胞内の微細構造を観察した.その結果,鞭毛や多層構造体といった精子に特徴的な微小管構造に異常がみられた.この結果から,雄性生殖器で特異的に発現するRAB GTPaseは,これらの構造の正常な形成に必要であることが明らかになった. このRAB GTPaseの積荷分子の同定に向けて,ゼニゴケの精子プロテオーム,RNA-seqのデータ,および他生物種における先行研究から候補分子を選定した.いくつかの分子については蛍光タンパク質を融合させたものを発現させてその局在を観察し,鞭毛や基底小体に局在することを確認できた.これら候補分子の挙動を遺伝子破壊株で確認するとともに,更なる積荷分子および相互作用因子を同定するべく,さらに詳細な解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精子形成過程における膜交通因子のはたらきを明らかにする上で不可欠となる観察手法の確立を行うことができた.この手法を用いた観察から,精子変態期において,細胞膜や各オルガネラの大規模な分解が起こること,またこの過程にエンドサイトーシスやオートファジーなどの分解系が関与することを示すことができた(Journal of Plant Research, in press). 雄性生殖器に特異的な発現がみられたRAB GTPaseについては,遺伝子破壊株を用いた詳細な観察から,鞭毛や多層構造体といった精子に特徴的な微小管を含む構造の形成に必須であることを示すことができた.この異常の直接の原因となる積荷分子の同定についても,いくつかの分子についてはすでに蛍光タンパク質を融合させた可視化ラインの作製・観察を進めており,おおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
精子変態期におけるRAB GTPase自身の細胞内局在については,すでに蛍光タンパク質を融合させたものを発現させることで.遺伝子破壊株でみられる運動性の異常を回復させることを確認しており,マーカータンパク質との共発現などによる詳細な解析を行う.また,すでに選抜した積荷の候補分子については,遺伝子破壊株でその局在や挙動に差が見られないかを確認する.さらに,造精器を用いたpull-down assayや共免疫沈降法を確立し,新たな積荷分子および相互作用分子を同定する.これらの解析から,精子に特徴的な微小管を含む構造の形成に膜交通がどのように関わっているのかを詳細に明らかにすることを目指す.
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