研究課題/領域番号 |
16J04522
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 貴則 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
キーワード | 材料評価 / 渦電流 / 残留応力 / 残留ひずみ / マグネティクス / 一般構造用炭素鋼 |
研究実績の概要 |
本研究では高い安定性を有する渦電流磁気指紋法を用いて残留応力・残留ひずみの新しい非破壊評価手法を提案し、様々な材料因子の中から残留応力・残留ひずみ情報のみを抽出する評価手法の有効性を検証する。 前年度の結果から残留ひずみ1%周辺に渦電流磁気指紋の特異点があることが示唆されたため、平成29年度は残留ひずみ1%周辺を中心に単軸引張試験を行い、残留ひずみ0%から2%程度の引張試験片を多数作製した。その結果、引張試験片が弾性変形領域から加工硬化領域に移行する際に発生する不均一な塑性変形を起点として渦電流磁気指紋の軌跡の描く向きが大きく変化することが明らかになった。この現象は、引張方向が圧延方向に平行な試験片と、引張方向が圧延方向に垂直な試験片で同じであることを確認した。また、炭素量を大きく変化させてパーライト組織を変化させた供試材を作製し、同様に単軸引張試験を行った。渦電流磁気指紋の取得を行ったところ、パーライト組織を変化させる前の供試材と同様に、不均一な塑性変形の前後で渦電流磁気指紋の軌跡の描く向きが変化することが確認された。従って、渦電流磁気指紋の傾向から不均一な塑性変形が発生しているかどうか判別することが可能となった。また、前年度構築した数値解析コードを用いて渦電流磁気指紋のメカニズムの検討を行った。その際、信号ドリフトを解消するために新たな測定システムを構築したことで解析結果の精度が向上した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい現象である渦電流磁気指紋について、渦電流磁気指紋の信号と引張試験片の組織との関連性の一部が明らかになり、残留応力・残留ひずみを議論する上で重要な結果が得られた。従って今後順調に研究は進捗するものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
完成した解析コードおよび改良した測定システムを用いて渦電流磁気指紋法の更なるメカニズム解明を目指す。また、解明されたメカニズムから残留応力・残留ひずみ情報を抽出する信号処理方法の高度化について取り組む。
|