研究課題
Respiratory Syncytial Virus (RSV) は、小児下気道感染症の主要原因であり、特に生後6か月未満の感染で重症化しやすいことから重要な病原体である。現在開発が進められているワクチンによって、免疫能の十分でない乳児の重症なRSV感染を予防する方法が模索されており、RSV感染伝播の理解と乳児の感染源の解明が求められている。よって、RSV感染症の伝播の疫学像の理解を目的に本研究を考案・実施した。フィリピン東部に位置する東ビサヤ州ビリラン県の一部地域で実施した5歳未満児を対象としたコホート研究のデータを用いて、特に6か月未満児のRSV感染症の感染源を明らかにするために解析を行った。感染源が家庭内の5歳未満児であったと考えられる症例について検討した。世帯内の5歳未満児が乳児のRSVの感染源であると考えられた例は、RSV感染症が確認された乳児の約30%であった。乳児にとって世帯内の5歳未満児が感染源として重要であることが示された一方、乳児は家族から感染する場合のほかに、家族以外から感染する場合もあることが考えられる。これらの結果は、RSV symposium およびOpen Forum Infectious Diseasesに発表した。2017-18年(1シーズン目)に採取した検体について、Real-time PCR法でRSVを検出した。RSV陽性の乳児の家族6名のうち4名からRSVが検出されたが、乳児が初発例である可能性が高く、家族以外から感染した可能性もあることが示された。RSVを検出した4名のうち3名は成人であり、成人も含んだ伝播が観察された。2シーズン目となる2018-19年に67名の乳児とその家族を対象とし流行中に呼吸器症状のモニタリングおよび検体採取を継続した。ウイルス検出と解析を実施している。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Open Forum Infectious Diseases
巻: 6 ページ: -
10.1093/ofid/ofz045