研究実績の概要 |
セラミックス材料の微細構造の改質や多孔化は、一般的に高分子テンプレートが用いられる。高分子テンプレートは消耗材かつ非常に高価であり、二酸化炭素低減の観点からも新たな創製技術の確立が望まれる。これまでに我々は、異種元素添加によるアルカリ土類フェライト(マグネシウムフェライト及びカルシウムフェライト)粒子の微細化や多孔質構造の出現を見出してきた。しかしながら、アルカリ土類フェライトの粒子サイズや多孔度等の精密制御はまだ達成されておらず、調製条件の最適化を行うことが不可欠である。異種元素添加によるテンプレートフリーなアルカリ土類フェライト材料の微細構造改質技術の開発を目的として、本年度では異種元素の種類,添加量,焼成条件を変えたアルカリ土類フェライトを調製し、微細構造(結晶子サイズ,粒子形態,多孔質構造)が如何に変化するか調査した。 異種元素(Al, Si, Ti, Zr, La)を添加したマグネシウムフェライトは、有機酸錯体法を用いて調製した。5mol%の異種元素を添加した場合では、400℃焼成時の結晶子サイズはいずれの試料でもほとんど変わらなかった。焼成温度が上昇すると異種元素添加の影響が明確に現れ、いずれの元素を添加した場合も未添加の場合より結晶子サイズが小さくなった。この傾向は、SiやLaの添加の場合に顕著であった。添加量が10 mol%の場合にも、同様の挙動が認められた。 更に、添加したSi周りの局所構造を調べるために、X線吸収分光測定を実施した。XANESスペクトルから得られた吸収端の変化より、5 mol%のSi添加した場合では、低温焼成時ではSiO4四面体のネットワーク構造が維持されており、高温焼成によって破壊されている可能性が示唆された。
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