前年度までに、MgFe2O4にSiを添加すると結晶子サイズが大きく減少するとともに、粒子表面に特異的な多孔質構造が現れることを明らかにした。また、Laを添加したMgFe2O4についても、結晶子の微細化に対してSiと同様の効果が確認され、比表面積が向上した。本年度はLaを添加したMgFe2O4について(1) X線吸収スペクトル(XAS)測定によるLaの存在状態の確認、(2) 水素による昇温還元測定による還元特性の評価を実施した。 (1) XAS測定より得られたFe K-edgeに関する同径構造関数を比較したところ、未添加試料およびLa添加試料はどちらもFe-O結合由来のピークが確認された。Laを添加すると、第2配位圏以降のピーク強度が大きく減少しており、低結晶性または配位数の変化が原因であると考えられる。 (2)MgFe2O4では約430度でFe(Ⅲ)のFe(Ⅱ)への還元、490~530度でFe(Ⅱ)からFe(Ⅰ)への還元、それ以降の高温ではFe(Ⅱ)またはFe(Ⅰ)からFe(0)への還元が進行することがわかった。焼成温度が700度以上の試料では結晶性が良くなるため、還元ピークは高温側に現れた。Laを添加した試料では、この還元ピークは低温へシフトし、Laの添加により還元されやすくなることが明らかとなった。また、1 wt%のPd及びCuを担持させると更に低温で還元した。以上より、La添加MgFe2O4が有用な触媒担体として期待できる結果が得られた。
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