前年度の研究実施状況に基づき、以下二点について研究を進めた。主な成果は以下の通りである。 (1)当初の研究課題であった、室町幕府と大名被官の関係構築について。学会報告として、①「室町幕府と大名有力被官層の関係についての予備的考察」(中近世移行期研究会、大阪大学、2017年6月4日)、②「大名被官の在京活動と室町幕府」(大阪歴史学会中世史部会、淀川区民センター、2018年1月26日)、③「在京陪臣の活動と室町幕府」(大阪歴史学会中世史部会、大淀コミュニティセンター、2018年3月31日)を実施した。①では、本研究課題の開始後に出された研究も踏まえつつ、改めて大名被官についての研究史を整理し、分析の前提とした。②では、室町殿と大名被官の直接的関係の構築や、大名被官の文化的活動を中心に概観し、③では都鄙にわたる大名被官の動向を論点として加えた。 (2)前年度の研究実施過程で浮上した、室町幕府における大名一門の位置について。論文「細川持賢と室町幕府―幕府―地域権力間交渉と在京活動の検討から―」(『ヒストリア』266号、2018年2月)を発表した。この論文は、細川持賢(勝元の叔父)が、多数の地域権力との交渉の取次役を務めていたことを明らかにした上で、従来指摘されてきた細川一門の中心という立場に加えて、室町殿義教・義政の側近という立場で活動していたことを論じたものである。 以上に加えて、2018年5月には大阪歴史学会中世史部会、2018年6月には大阪歴史学会大会での報告が決定している。2年間の成果を総合して、公表する予定である。
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