研究課題/領域番号 |
16J05353
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
衞藤 貫 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
キーワード | membrane trafficking |
研究実績の概要 |
神経突起伸長の過程では細胞膜の表面積が大きく拡大することから、細胞内部からの膜輸送機構が不可欠と考えられている。この過程で生じる膜動態の変化は、神経成長因子(NGF)と呼ばれる細胞外部からの刺激により引き起こされることがわかっている。よって、神経突起伸長に必須な膜輸送制御因子Rab35もNGF刺激依存的に活性化されることが予想される。しかし、NGF刺激によりどのようにしてRab35が活性化されるのか、その分子メカニズムは明らかになっていない。また一般的に、Rabの活性化はグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)とよばれるRab活性化因子により制御されると考えられているが、このRab-GEFの制御メカニズムも未だ明らかになっていない。そこで、申請者はNGF刺激によりどのようなメカニズムでRab35-GEFが制御され、Rab35を活性化するのかを明らかにしたいと考え、本研究課題の着想に至った。 神経突起伸長の際に、Rab35の活性化に関わる因子(GEF)の同定と機能解析を昨年度に引き続き進め、候補分子としてDENND1A/connecdenn1を同定することに成功している。DENND1AのPC12細胞でのノックダウンでは神経突起の伸長が抑制されることも確認できており、本年度はこの研究結果に関する学会発表を行った。今後は、CRISPR/Cas9のゲノム編集技術を用いて、Rab35やDENND1AをノックアウトしたPC12細胞株を樹立し、神経突起伸長への影響を詳細に検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、神経突起伸長時にRab35の活性化に関わる活性化因子(GEF)の同定を進め、候補分子(DENND1A/connecdenn1)の同定に成功すると共に、その機能解析に取り組みました。本年度はこの成果に関する学会発表を行うなど、期待通りの研究成果が得られていると判断している。 また、本年度はRab35に加え、やはり神経突起伸長への関与が示唆されているRab10の機能解析にも着手し、Rab10のこれまで知られていない非神経系での新たな機能の一端を見出しつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
NGF依存的なDENND1Aの活性・局在制御機構の解析:現在、DENND1AはNGF依存的にリン酸化を受けることを突き止めている。また、NGF依存的であるかは検証できていないが、リン酸化サイトの同定にも成功している。そこでまず、そのリン酸化サイトがNGF依存的であるか検証するために、リン酸化部位特異的DENND1A抗体を作成したいと考えている。また、DENND1Aがリン酸化を受ける意義について追求する予定である。すなわち、Rab35へのGEF活性の変化や神経突起伸長への影響を検証する。 また、新たに着手し始めたRab10の機能解析については、Rab10KOによる細胞への影響をより詳しく検討し、Rab10の生理学的意義を明らかにして行く予定である。
|