アビダルマ仏説論と密接に関係する「聖典解釈学」について重要な進展があった。「解釈」は前提となる「聖典」が先に成立していなければならないが、三蔵のうちに仏語を解釈する記述があることは、「聖典」から「解釈」へという両者を区別した直線的な展開ではなく、むしろ「聖典」と「解釈」は密接な関係を持ちながら混然一体となって編纂されていったものであると想定される点を指摘した。 また並行して進めている、上座部註釈家の年代論研究においても進展があり、ダンマパーラ、アーナンダ、ウパセーナらの年代が特定された。 そして、ダンマパーラ著作のうちに『倶舎論』からの引用が多数確認される点を指摘した。
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