研究課題/領域番号 |
16J05524
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤居 由基 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | オレフィンメタセシス / ノンメタセシス反応 / ワンポット反応 / 複素環化学 / π共役系分子 / 機能性分子 / 近赤外色素 |
研究実績の概要 |
π電子系有機分子は、その広いπ共役系によって吸収した光を、電気エネルギーや蛍光に変換する特徴を持つ。その為、π電子系有機分子はインドシアニングリーン法の診断薬 (Y. Chang et al, Chem. Rev. 2012, 112, 4391) や太陽電池 (T. Torres et al, Chem. Rev. 2014, 114, 12330) に広く用いられている。現在、π電子系多環性複素環化合物の開発は、既知骨格の誘導体化による国際的な研究が盛んであるが、その骨格が限られていることが問題となっている。これらの化合物の骨格が限られている原因は、その合成法が限定されていることにある。そこで、「π電子系多環性複素環化合物の新規合成法の開発」及び「π電子系多環性複素環化合物ライブラリーの構築」を達成し、上記問題点を解決することを研究目的とする。ルテニウム触媒を用いたメタセシス / ノンメタセシスワンポット反応は、近年注目を集める炭素-炭素結合形成反応の手段の一つであり、創薬科学や生理活性天然物を効率よく合成する最も重要な骨格形成法の一つと言える。今回申請者は、新規メタセシス / ノンメタセシスワンポット反応を開発し、新規含窒素多環式複素間骨格を一挙に構築する手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、新規π電子系多環性複素環化合物を合成するため、①RCM / C-H活性化 / 環化ワンポット反応及び②エインメタセシス / Diels-Alderワンポット反応及び③エインメタセシス / 異性化 / Diels-Alderワンポット反応を開発に着手した。鋭意検討した結果、③エインメタセシス / 異性化 / Diels-Alderワンポット反応を開発し、ナフト[3,2,1-de]キノリン骨格を得ることに成功した。このナフト[3,2,1-de]キノリン骨格は、本法でのみ合成することが可能である新規π電子系多環性複素環骨格である。現在も①RCM / C-H活性化 / 環化ワンポット反応及び②エインメタセシス / Diels-Alderワンポット反応について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、①RCM / C-H活性化 / 環化ワンポット反応及び②エインメタセシス / Diels-Alderワンポット反応について検討を行い、新規ワンポット反応の開発を目指す。また、ホウ素やケイ素などの典型元素をπ骨格に組み込むことで、骨格内の電子構造を自在に修飾することが可能になり、新たな機能を付与することが出来る (S. Yamaguchi et al, Chem. Lett. 2005, 34, 2) 。申請者が合成する新規π電子系多環性複素環化合物にホウ素やケイ素などの他のヘテロ元素を導入した化合物を設計し、その新規合成法を確立する。また、得られる新規π電子系多環性複素環化合物のHOMO / LUMO情報 (Gaussianを用いた第一原理計算) と吸光・蛍光特性をデータベース化し、従来のπ電子系多環性複素環化合物との吸光・蛍光特性と比較し、最適骨格の構造変換を理論的に解析する。得られる結果を参考に、より最適なπ電子多環性複素環化合物を設計・合成・機能評価をする。
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