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2017 年度 実績報告書

アルツハイマー病における脳内糖代謝機構の病態生理学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 16J05570
研究機関千葉大学

研究代表者

泉尾 直孝  千葉大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワードアルツハイマー病 / インスリン抵抗性 / アセチルコリン / 行動試験
研究実績の概要

これまでに、脳内インスリン抵抗性は、アルツハイマー病(AD)の病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆されており、その機序として、脳内におけるグルコースやその代謝関連物質の病的な変化が考えられる。そこで、ADモデルマウス(APP-KI)とインスリン抵抗性マウス(IR-KI)を掛け合わせて作製したインスリン抵抗性ADモデルマウスについて、行動学的変化と脳内糖代謝について検討を進めている。昨年度は、特に以下の点について解析を進めた。
【IR,APP-KIにおける行動学的解析】
まず、認知機能を評価するため、短期記憶の評価系であるY字迷路試験、長期記憶の評価系として場所指向性試験を実施した。IR, APP-KIとAPP-KIを比較したところ、Y字迷路試験における自発交代行動には差が認められなかったが、場所指向性試験では、新規環境に対する指向性が、IR, APP-KIでは減少していた。今後詳細な解析を進めていく。

【IR,APP-KIにおけるアセチルコリン系の解析】
アセチルコリンは、グルコースの代謝物であるアセチルCoAと、グルコースと類似した輸送系で細胞内に取り込まれるコリンを原料として生合成される。アセチルコリンは、その認知機能への関与の大きさを考慮すると、脳糖代謝と行動学的変化を結びつける重要な低分子化合物である。そこで、アセチルコリンの機能的な評価を実施するため、脳内の血流調節機能に着目し、東京都健康長寿医療センター研究所 自律神経機能研究室の堀田晴美研究部長と共同研究を実施した。マウスの左上腕部の尺骨神経を電気刺激すると、マイネルト神経核のアセチルコリン神経を介した、大脳皮質における血流増加反応が認められる。現在は、IR,APP-KIおよびAPP-KIについて血流増加反応を比較し、アセチルコリン神経系の機能的解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

行動試験については、再現性の確認まで実施し、確固たる結果を得た。また、脳内低分子の病的変化については、アセチルコリンに着目することで、グルコースの代謝異常と神経機能を結びつけることができた。当初の研究目的を達成することができている。

今後の研究の推進方策

今後、アセチルコリンの生合成・代謝について、グルコース代謝と関連付けながら病的変化について解析していく。また脳低分子化合物の網羅的解析系の導入を進めており、さらに病的変化の全体像を把握することができる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] アミロイドβ「毒性コンホマー」を標的にしたアルツハイマー病の治療・診断法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      泉尾直孝、清水孝彦、村上一馬、入江一浩
    • 雑誌名

      医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] A Toxic Conformer of Aβ42 with a Turn at 22?23 is a Novel Therapeutic Target for Alzheimer’s Disease2017

    • 著者名/発表者名
      Izuo Naotaka、Kasahara Chihiro、Murakami Kazuma、Kume Toshiaki、Maeda Masahiro、Irie Kazuhiro、Yokote Koutaro、Shimizu Takahiko
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 11811

    • DOI

      10.1038/s41598-017-11671-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Topical Application of Trisodium Ascorbyl 6-Palmitate 2-Phosphate Actively Supplies Ascorbate to Skin Cells in an Ascorbate Transporter-Independent Manner2017

    • 著者名/発表者名
      Shibuya Shuichi、Sakaguchi Ikuyo、Ito Shintaro、Kato Eiko、Watanabe Kenji、Izuo Naotaka、Shimizu Takahiko
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 9 ページ: 645~645

    • DOI

      doi: 10.3390/nu9070645

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脳特異的Superoxide dismutase 2欠損マウスはスポンジ状脳症を誘導する2018

    • 著者名/発表者名
      泉尾 直孝、野田 義博、清水 孝彦
    • 学会等名
      第138回日本薬理学会関東部会
  • [学会発表] 青ジソに含まれるアミロイドβ42の凝集阻害物質の作用機構とマウスにおける生体内代謝2018

    • 著者名/発表者名
      坂口 嘉紀、村上 一馬,花木 瑞穂,泉尾 直孝,小澤 裕介,粟野 達也,高部 圭司,川瀬 泰司, 廣瀬 賢治,三羽 伸明,久米 利明,清水 孝彦,入江 一浩
    • 学会等名
      日本農芸化学会2018年度大会
  • [学会発表] Systemic insulin resistance induces cognitive and psychiatric symptoms in Alzheimer’s disease model mice2018

    • 著者名/発表者名
      Izuo N, Watanabe N, Noda Y, Saito T, Saido T, Hotta H, Shimizu T
    • 学会等名
      18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology
    • 国際学会
  • [学会発表] Docosahexaenoic acid is a potent anti-inflammatory mediator in microglia2017

    • 著者名/発表者名
      Izuo Naotaka, Kasahara Chihiro, Yamamoto Yuka, Shimizu Takahiko
    • 学会等名
      第40回日本基礎老化学会大会
  • [学会発表] 全身性のインスリン抵抗性は老人斑非依存的にアルツハイマー病モデルマウスに行動異常を誘導する2017

    • 著者名/発表者名
      泉尾 直孝、笠原 千尋、村上 一馬、入江 一浩、清水 孝彦
    • 学会等名
      生体機能と創薬シンポジウム2017
  • [学会発表] 全身性インスリン抵抗性はアルツハイマー病モデルマウスに行動異常を誘導する2017

    • 著者名/発表者名
      泉尾 直孝、笠原 千尋、村上 一馬、入江 一浩、清水 孝彦
    • 学会等名
      次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム2017

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公開日: 2019-12-27  

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