本研究の目的は、諸外国の学校評価制度を目標管理の視点から類型化した上で、こうした学校評価制度の差異が教職員間の協働にどのような違いを生じさせるのか明らかにすることであった。分析の視角として、トップダウンとボトムアップの目標管理という軸を用い、第一の作業課題として諸外国の学校評価制度にトップダウンとボトムアップの目標管理がどのように反映されているのかを明らかにすること、第二の作業課題として学校評価制度の差異が教職員間の協働にどのような違いを生むのか明らかにすることを設定した。 第一の作業課題については、フランスと日本の事例を基に制度分析を行った。フランスで実施されている参加型学校評価の試みが教職員間の協働にどのような影響を及ぼしているのかをボルドー大学区におけるフィールドワークから明らかにし、また、日本の市町村教育委員会における学校評価制度における目標管理の動態について質問紙調査によって明らかにした。 第二の作業課題については、ランダムサンプリングによって抽出した日本の小中学校を対象に質問紙調査を実施し、各学校の学校評価の実践における目標管理の実態とそれが教職員間の協働にどのような影響を及ぼしているのか、質問紙調査及び事例分析を行った。 上記の研究は、概ね順調に進展したと考える。その理由は、第一に、フランスにおける現地調査から、ボトムアップ型の目標管理が教職員間の協働に果たす条件について仮説生成を行った点である。第二に、日本の学校評価の制度と実践においてボトムアップとトップダウンの目標管理がどの程度運用されているのか、そのインパクトの実態も明らかになった。
|