研究課題/領域番号 |
16J05780
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本田 博之 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | CO2地中貯留 / 難透水性堆積岩 / 多相流 / 超臨界CO2 / 室内実験 / 物理探査 |
研究実績の概要 |
CO2地中貯留技術(CCS)はCO2排出量削減の有効な手段の一つとして,注目されている。複雑かつ活動的な地質構造を有する我が国においては, より多くのCO2貯留層を確保するために,比較的小さな空隙を有する深部塩水帯水層を貯留層として利用することが検討されている。CO2地中貯留における貯留層や遮蔽層の安全性・経済性の評価,微小地震・地表面変動の抑制に必要不可欠な貯留層のCO2の流路や応力状態のメカニズムの解明が求められる。特に,本研究では,日本の非構造性帯水層によく見られる空隙や鉱物の分布が不均質な堆積岩を対象に,水(塩水)・CO2の二相流状態における選択的な流れと岩盤強度の影響を間隙弾性論の多相流拡張を行い、メカニズムの解明を目的としている。そのために,様々な条件下で超臨界CO2注入実験を行い,比抵抗測定,弾性波探査による試験体内の選択的な流路の把握を試みた。また,岩石の透水性がCO2の透過・貯留にどのような影響が出るかの比較実験も実施した。 本年度は、様々な条件下でCO2注入実験を長時間行い実験データの蓄積を行うことに加え、試験体コアサイズから貯留層スケールのように大規模な解析の準備、並びに岩石の空隙構造の把握のためにX線CTによる撮影を実施した。さらに,LBMによる浸透シミュレーションを試験的に実施した。これらの研究成果を岩盤工学系の国際学会(10月ARMS9)とCCSの世界大会(11月GHGT13),国内の岩盤工学のシンポジウム等で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に関しては,当初の予定以上(対象とする岩石に加え,浸透性の高い岩石など)のデータを取得済みであり,データ解析等を進めている状況である。特に,長期間のCO2注入実験であったため,解析に時間を要している。また,平成28年度は実験に多くの時間を費やした関係で,解析(シミュレーション)に関して,予定より若干遅れているが,解析を実施する環境の構築は完了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度までに取得した実験データを検証し,弾性波探査に用いるセンサーの配置の変更や追加実験を行う。また、解析に関しては,平成28年度に撮影したX線CTから構築したモデルと導入した解析環境を用いて、岩石内のCO2流れのシミュレーションや実際の貯留層スケールのシミュレーションを行う。さらに,平成29年度は,自身がこれまでに取得したデータや他の研究所が取得したデータを議論する機会を設ける予定である。論文投稿に関してはこれまでに得られた研究成果のまとめを行い、自身の専門である岩盤系工学系の論文や地球物理学,物理探査などの分野でも国際誌への投稿を考えている。
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