研究課題
本研究は、中期紡錘体の形態安定性のメカニズムを、紡錘体の骨格である微小管に対し、紡錘体内で発生する力に着目し、明らかにすることを目的とする。本年度は、無細胞膜系において研究代表者らが開発した紡錘体内での力学計測技術を応用し、さらに高時空間分解能での紡錘体微小管の観察手法と組み合わせることで、紡錘体内で発生している力を検証することを目指した。本年度の研究により、弾性定数既知の柔らかいマイクロニードルを用いて、紡錘体の任意の領域の微小管を動かし、それに要する力を測定する手法を確立し、紡錘体各領域について微小管の輸送に必要な力をマッピングすることに成功した。さらに、紡錘体微小管の輸送のライブイメージングを行い、その観察結果とあわせて検証することで、現在紡錘体各領域における力発生の見積もりを行っている。また、マイクロニードルを用いて局所的に負荷した力に対する紡錘体微小管の応答を紡錘体全域において解析し、その解析結果から、現在紡錘体内における紡錘体微小管同士の相互作用の検証を行っている。本年度は、上記課題と並行し、本研究課題において紡錘体の形成に用いている、アフリカツメガエル卵抽出液の凍結保存方法の改良を行った。本研究成果については国内特許出願を行い、現在国際的論文誌に論文を投稿中である。さらに、3件の共同研究を進め、2件について論文を発表し、1件については次年度に論文掲載予定である。
2: おおむね順調に進展している
当該年度に予定していた、紡錘体内で発生する力の計測に必要な実験・解析手法の確立について、その大部分が確立され、さらにそれを用いた計測を行ったため。また、当初計画には無かった、卵抽出液の凍結保存方法の改良に成功し、実験系の利便性が大きく向上したため。
次年度は、本年度までに得られた紡錘体微小管動態に関する実験データについて、定量的解析を進めることで、紡錘体内における力発生の空間的様相を明らかにすると共に、紡錘体の構造安定性との関連を考察する。また、これらの分子的背景を明らかにするため、本年度までに得られた特定の分子機能阻害下で行われた同様の実験データについても、解析を進める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)
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