今後の研究の推進方策 |
最終年度は、昨年度から継続している、小腸における5-FUによるアポトーシス誘導を増強する5-HT3ARを発現している標的細胞の同定を行い、研究成果をまとめて論文として公表することを第一の目標とする。 そこで、標的候補である上皮細胞ならびに神経細胞の5-FUによるアポトーシス誘導増強作用の関与について解析する。 まず上皮細胞に関しては、近年報告された腸管上皮幹細胞を用いた腸オルガノイドを用いて実験を行う予定である(Sato et al, Nature, 2009.)。この腸オルガノイドを用いた実験系で、すでに5-FUなどのアポトーシス誘導物質を共培養することでアポトーシスを評価する方法が報告されており(Grabinger et al, Cell Death and Disease, 2014.)、この方法を野生型マウスおよび5-HT3AR欠損マウスを用いて行うことで、上皮細胞の5-HT3ARがアポトーシスに影響するかを明らかにできると考えている。 一方、神経細胞に関しては、5-HT3ARを発現する消化管神経の発現分布の解析と、その神経から放出産生される神経伝達物質や神経ペプチド類の可能性について形態学的手法を用いて解析する予定である。すでに5-HT3ARにHA-tagを遺伝子導入したマウスとGFPを遺伝子導入した二種類の5-HT3ARを標識するレポーターマウスを得ることができており、これらのマウスを用いて解析を進める。
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