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2016 年度 実績報告書

大規模バイオロギングデータのマイニング~福島沿岸の震災復興への貢献

研究課題

研究課題/領域番号 16J05814
研究機関統計数理研究所

研究代表者

野田 琢嗣  統計数理研究所, データ科学研究系, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワード魚類 / 行動 / バイオロギング / データベース / データマイニング / クラウド
研究実績の概要

本研究では、バイオロギングによって得られた、震災後の福島県水域での魚類の行動に関する大規模データから、情報抽出する技術の開発に取り組んでいる。この達成のため、1.データベースシステムの開発、2.行動情報抽出技術の開発、3.データ取得、の3つを並行して進めている。詳細は以下である。
1.個体・データ種ごとにファイルやフォーマットが異なるバイオロギングの大規模データを、一元的に解析可能にするために、様々なデータを蓄積・統合し、情報を抽出可能な(クラウド型の)データベースシステムを開発する。これまでに、システムの仕様として、メタデータやセンサデータの入出力のフォーマットや、データ解析の手順等の仕様を検討・考案した。クラウド型のシステムを検討することで、今後のデータ量の増加に応じ、システムの能力を自由に変更可能である。
2.福島県水域の魚類のバイオロギングデータから行動情報を抽出する技術を開発する。平成27~28年度にかけて福島県松川浦にて行った実験で得られた、ホシガレイの深度・温度ロガーのデータを中心に、解析を行った。本種は、栽培漁業対象種であり、震災復興の目玉となっている魚種である。通常、深度・温度ロガーのデータでは水平位置を把握することができない。しかし、本種は底魚類であることから、タイダルロケーション法(深度変化から潮汐履歴を類推し、潮汐予測モデルと照合することで位置を決定する手法)を適用することで、位置を推定できないか検証した。結果、本種の産卵時の位置を推定することができた。
3.共同研究により、福島県松川浦にて現場実験を行い、継続してデータを取得した。平成28年度は、7月および10月末に松川浦にて合計35尾のホシガレイの人工種苗、天然親魚にデータロガーを装着・放流した。
以上の成果は、平成29年度日本水産学会春季大会等にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、目的を達成するため、1.データベースシステムの開発、2.行動情報抽出技術の開発、3.データの取得の3つを並行して進めている。それぞれの進捗状況は以下である。
1. (データベースシステムの開発) これまですでに、システムの仕様として、メタデータやセンサデータの入出力のフォーマットや、データ解析の手順等の仕様を検討・考案した。初期の仕様の決定が非常に重要な点であり、検討に時間がかかることから、おおむね順調に進んでいると考えられる。
2. (行動情報抽出技術の開発) これまでに、福島県水域での重要水産魚種である、ホシガレイの深度・温度データから行動情報を抽出する方法として、タイダルロケーション法が適用できることを示した。今後再補が期待される多くのホシガレイのロガーデータにも同様の手法を適用することが可能であり、行動情報を抽出する一手法として有効である。以上、おおむね順調に進んでいると考えられる。
3. (データの取得) 共同研究により、福島県水域にて現場実験を行い、継続してバイオロギングデータを取得している。解析可能な個体数は増えており、おおむね順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

本研究では、目的を達成するため、1.データベースシステムの開発、2.行動情報抽出技術の開発、3.データの取得の3つを並行して進めている。それぞれの今後の推進方策は以下である。
1.(データベースしてシステムの開発) 今後は、これまでに検討・考案したシステムの仕様を実際に試作するところまで行う予定である。
2. (行動情報抽出技術の開発) 今後は、平成28年度成果のタイダルロケーション法をその他のホシガレイのデータにも適用し、解析を進める予定である。また、その他の行動情報抽出技術についても検討・開発を進める予定である。
3. (データの取得) 共同研究の継続により、福島県水域にて現場実験を行い、バイオロギングデータを増やす予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The influence of body size on the intermittent locomotion of a pelagic schooling fish2016

    • 著者名/発表者名
      Noda, T., Fujioka, K., Fukuda, H., Mitamura, H., Ichikawa, K. and Arai, N.
    • 雑誌名

      Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences

      巻: 283 ページ: 1, 13

    • DOI

      10.1098/rspb.2015.3019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Study of the efficiency of electrical generator using ferromagnetic powders by electromagnetic analysis2016

    • 著者名/発表者名
      Shirai, H., Mitamura, H., Noda, T., Arai, N., Moriya, K.
    • 雑誌名

      Mechanical Engineering Journal

      巻: 3 ページ: 1, 10

    • DOI

      10.1299/mej.16-00408

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 水圏生物の行動情報の取得8 松川浦に放流したホシガレイ人工種苗の移出過程および季節移動の解明2017

    • 著者名/発表者名
      和田 敏裕 , 野田 琢嗣, 岩崎 高資, 佐藤 太津真, 堀 友彌, 荒井 修亮, 三田村 啓理
    • 学会等名
      平成29年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2017-03-26 – 2017-03-30
  • [学会発表] クラウドを活用した水産バイオロギングデータの蓄積・管理・解析システム構築の試み2017

    • 著者名/発表者名
      野田 琢嗣, 小泉 拓也
    • 学会等名
      平成29年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2017-03-26 – 2017-03-30
  • [学会発表] 水圏生物の行動情報の取得3 魚類の摂餌行動分類機能付きピンガーの分類精度評価実験2017

    • 著者名/発表者名
      堀江 潤, 三田村 啓理, 伊奈 祐輔, 増野 祐一郎, 守屋和幸, 野田琢嗣, 荒井 修亮, 笹倉 豊喜
    • 学会等名
      平成29年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2017-03-26 – 2017-03-30
  • [学会発表] 水圏生物の行動情報の取得9 松川浦に放流したホシガレイ天然親魚及び人工種苗の外洋域での行動2017

    • 著者名/発表者名
      野田 琢嗣, 和田 敏裕, 堀 友彌, 佐藤 太津真, 松本 育夫, 藤田 恒雄, 高木 淳一, 荒井 修亮, 三田村 啓理
    • 学会等名
      平成29年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2017-03-26 – 2017-03-30
  • [学会発表] Construction of advanced biologging systems for high rates of data-recovery from marine top predators2017

    • 著者名/発表者名
      Noda, T., Yap, M., Miyamoto, Y., Arai, N., Mitamura, H., Ichikawa, K., Uchida, K., Kimura, S. S., Miyashita, K., Shirakawa, H., Tsuda, Y. and Kitagawa, T.
    • 学会等名
      PITTCON2017
    • 発表場所
      Chicago
    • 年月日
      2017-03-05 – 2017-03-09
  • [学会発表] 海洋生物の振動エネルギーの利用:より長期間の行動をモニタリングするための振動発電機を搭 載したバイオロギングシステムの検証2016

    • 著者名/発表者名
      野田 琢嗣
    • 学会等名
      海洋理工学会 平成28年秋季大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-10-27 – 2016-10-28
    • 招待講演
  • [学会発表] Development of a Pinger for Classification of Feeding Behavior of Fish Based on Axis-Free Acceleration Data2016

    • 著者名/発表者名
      Horie, J., Sasakura, T., Arai, N., Horie, J., Ina, Y., Mashino, Y., Mitamura, H., Moriya, K., Noda, T.
    • 学会等名
      Techno Ocean 2016
    • 発表場所
      Kobe
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
    • 国際学会
  • [学会発表] Schooling behaviour of Pacific bluefin tuna in a sea net cage monitored by a novel fine-scale positioning telemetry system2016

    • 著者名/発表者名
      Mitamura, H., Saito, W., Ichikawa, K., Arai, N., Takagi, J., Noda, T., Fujioka, K., Fukuda, H.
    • 学会等名
      International Society on Biotelemetry 21st Symposium 2016
    • 発表場所
      Leuven
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-24
  • [図書] バイオロギング22016

    • 著者名/発表者名
      バイオロギング研究会 (連名多数)
    • 総ページ数
      223
    • 出版者
      京都通信社

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公開日: 2018-01-16  

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