研究課題
本研究では、バイオロギングによって得られた、震災後の福島県水域での魚類の行動に関する大規模データから、情報抽出する技術の開発に取り組んでいる。この達成のため、1.データベースシステムの開発、2.行動情報抽出技術の開発、3.データ取得、の3つを並行して進めている。詳細は以下である。1.個体・データ種ごとにファイルやフォーマットが異なるバイオロギングの大規模データを、一元的に解析可能にするために、様々なデータを蓄積・統合し、情報を抽出可能な(クラウド型の)データベースシステムを開発する。これまでに、システムの仕様として、メタデータやセンサデータの入出力のフォーマットや、データ解析の手順等の仕様を検討・考案した。クラウド型のシステムを検討することで、今後のデータ量の増加に応じ、システムの能力を自由に変更可能である。2.福島県水域の魚類のバイオロギングデータから行動情報を抽出する技術を開発する。平成27~28年度にかけて福島県松川浦にて行った実験で得られた、ホシガレイの深度・温度ロガーのデータを中心に、解析を行った。本種は、栽培漁業対象種であり、震災復興の目玉となっている魚種である。通常、深度・温度ロガーのデータでは水平位置を把握することができない。しかし、本種は底魚類であることから、タイダルロケーション法(深度変化から潮汐履歴を類推し、潮汐予測モデルと照合することで位置を決定する手法)を適用することで、位置を推定できないか検証した。結果、本種の産卵時の位置を推定することができた。3.共同研究により、福島県松川浦にて現場実験を行い、継続してデータを取得した。平成28年度は、7月および10月末に松川浦にて合計35尾のホシガレイの人工種苗、天然親魚にデータロガーを装着・放流した。以上の成果は、平成29年度日本水産学会春季大会等にて発表した。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、目的を達成するため、1.データベースシステムの開発、2.行動情報抽出技術の開発、3.データの取得の3つを並行して進めている。それぞれの進捗状況は以下である。1. (データベースシステムの開発) これまですでに、システムの仕様として、メタデータやセンサデータの入出力のフォーマットや、データ解析の手順等の仕様を検討・考案した。初期の仕様の決定が非常に重要な点であり、検討に時間がかかることから、おおむね順調に進んでいると考えられる。2. (行動情報抽出技術の開発) これまでに、福島県水域での重要水産魚種である、ホシガレイの深度・温度データから行動情報を抽出する方法として、タイダルロケーション法が適用できることを示した。今後再補が期待される多くのホシガレイのロガーデータにも同様の手法を適用することが可能であり、行動情報を抽出する一手法として有効である。以上、おおむね順調に進んでいると考えられる。3. (データの取得) 共同研究により、福島県水域にて現場実験を行い、継続してバイオロギングデータを取得している。解析可能な個体数は増えており、おおむね順調に進んでいると考えられる。
本研究では、目的を達成するため、1.データベースシステムの開発、2.行動情報抽出技術の開発、3.データの取得の3つを並行して進めている。それぞれの今後の推進方策は以下である。1.(データベースしてシステムの開発) 今後は、これまでに検討・考案したシステムの仕様を実際に試作するところまで行う予定である。2. (行動情報抽出技術の開発) 今後は、平成28年度成果のタイダルロケーション法をその他のホシガレイのデータにも適用し、解析を進める予定である。また、その他の行動情報抽出技術についても検討・開発を進める予定である。3. (データの取得) 共同研究の継続により、福島県水域にて現場実験を行い、バイオロギングデータを増やす予定である。
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