研究課題
本研究では、バイオロギングによって得られた、福島県水域での魚類の行動に関する大規模データから、情報抽出する技術の開発に取り組んでいる。この達成のため、1.データベースシステムの開発、2.情報抽出技術の開発、3.データ取得、の3つを並行して進めている。詳細は以下である。1.様々なデータを蓄積・統合し、情報を抽出可能な(クラウド型の)データベースシステムを開発する。本年度は、昨年度検討した仕様をもとに実際にクラウド上にてロガーデータを蓄積・統合し、解析可能なシステムを試作した。開発したシステムについては、今年度の9月末にドイツで開催された第5回国際バイオロギング科学シンポジウムにて発表した。並行し、試作したシステムの評価を行ったところ、当システムではデータ入力・解析に制限があることが考えられ、現在、改良を行っているところである。2.福島県水域の魚類のロガーデータから行動情報を抽出する技術を開発する。平成27ー28年度にかけて福島県松川浦にて、ホシガレイに深度・温度ロガー等を装着・放流したことで得られたデータを中心に解析を行った。今年度は、昨年度開発した福島県沖におけるTidal Location Method(深度変化から潮汐履歴が記録された区間を類推し、潮汐予測モデルと照合することで位置を決定する手法)を、今年度になりロガーが回収されたすべてのホシガレイのデータも含め合計5個体に適用した。成果は、国際異体類シンポジウムにて発表した。また、福島県沖に設置した漁網(水深30m)に約2ヶ月間、深度・温度ロガーを設置し、Tidal Location Methodの精度検証を行った。3.共同研究により、福島県水域にて現場実験を行い、継続してデータを取得した。平成29年度は、11月末に松川浦にて合計10尾のホシガレイの人工種苗、天然親魚にデータロガーを装着・放流した。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、目的を達成するため、1.データベースシステムの開発、2.データ抽出技術の開発、3.データの取得の3つを並行して進めている。1. これまですでに、システムの仕様を決定し、実際に試作・評価するところまで行った。現在、評価結果をもとに更に改良を行っているところであり、おおむね順調に進んでいると考えられる。2. 福島県水域での重要水産魚種であるホシガレイの深度・温度ロガーから行動情報を抽出する方法として、昨年度開発したTidal Location Methodを今年度になり再補され回収された5個体すべてのデータに適用し解析を進めた。Tidal Location Methodの精度評価も行った。以上、おおむね順調に進んでいると考えられる。3. 共同研究により、福島県水域にて現場実験を行い、継続してバイオロギングデータを取得している。解析可能な個体数は増えており、おおむね順調に進んでいると考えられる。
1.(データベースしてシステムの開発)今後は、現在改良を進めているシステムを完成させ、最終評価をするところまで行う予定である。2. (データ抽出技術の開発) 今後は、統計モデル(状態空間モデル等)を用いて移動軌跡の推定、行動分類を行う予定ある。3. 共同研究の継続により、福島県水域(請戸地区等)にて現場実験を行い、バイオロギングデータを増やす予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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