研究課題/領域番号 |
16J05894
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石田 聖子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | イタリア文学 / パラッツェスキ / 未来派 / 初期映画 / 身体表象 |
研究実績の概要 |
本研究は、20世紀初頭イタリアの文学と映画にみられる身体表象を非現実的な様態に焦点を当てながら思想史的、表象文化論的観点から考察することを目的とするものである。本年度は、アルド・パラッツェスキの1905年から1915年までの文学作品に関する調査を主に実施した。あらかじめ入手しておいた一次資料を用いて、当該期間中に書かれた詩、短篇・長篇小説作品を精読し、身体に関する箇所のリストアップと検討を進めた。並行して、カルロ・コッローディの小説『ピノッキオの冒険』を中心とした19世紀後半イタリア文学および19世紀末から20世紀初頭にかけてイタリアで製作されたコメディを中心とする映画作品にみられる身体表象の分析を行い、パラッツェスキの身体表象と比較検討した。国外での調査としては、平成28年6月25日から7月2日までボローニャで開催された復元映画祭ならびに平成28年10月1日から10月8日までポルデノーネで開催された無声映画祭にそれぞれ参加し、イタリア初期映画に関する映像資料調査を実施した。現地では関連資料と文献を複写、購入により収集した。本年度実施した研究の成果の一部は、国際シンポジウム「アヴァンギャルドの知覚」(平成28年7月26日、於東京外国語大学)における口頭発表「Heterogeneous Bodies in Early Italian Comedy」、関西イタリア学研究会例会(平成28年11月27日、於立命館大学)における口頭発表「ピノッキオ、フレーゴリ、クレティネッティ―視覚文化の身体」、日本笑い学会学術交流支部第1回研究会(平成29年1月7日、於キャンパスプラザ京都)における口頭発表「創造の戦略としての笑い ―パラッツェスキ「反苦悩」を中心に」で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究集会等での口頭発表や論文執筆の機会を想定以上に得られたことから、それら機会を利用するかたちで研究を大きく推進することができた。国外での資料調査の際にも数多くの貴重な資料を収集することができた。しかし一方、博士論文の日本語版の作成を思うように進めることができなかったことが大きな反省点となった。
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今後の研究の推進方策 |
二年目(平成29年度)は、未来派研究を中心に実施する。未来派の理念と特にその映画への関与を明らかにすることが主たる目標である。そのため未来派と未来派映画、その周辺に関する作品、宣言、記事、批評などの複写と購入を通じた収集をおこない、それら資料の整理、精読、分析にあたる。未来派の多角的理解のために、ダダやシュルレアリスムをはじめイタリア外で興隆した歴史的アヴァンギャルド、またイタリアで1960年代に起こったネオアヴァンギャルドに関する調査も並行して進めてゆく。そうして得られた成果を論文や報告にまとめ、国内外の研究集会や学会の場で発表する。昨年度より国内外の研究集会や学会の場で研究者ネットワークの拡充に努めてきたが、そのさらなる充実も図る。
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