研究課題
本研究では,キラリティが誘起するナノ構造液晶の特性を分子レベルで明らかにし,次世代の液晶デバイス開発の設計指針を示すことを目的としている。今年度は,初年度及び昨年度に作成したGay-Berneモデルのモンテカルロシミュレーションコードを用いて,キラリティとダイポールが液晶分子の相転移に与える影響について研究した。キラリティによってスメクチック相の形成が阻害されること,またそのような場合には弱い層構造を持ったコレステリック相が出現することなどを明らかにした。また,発展的な内容として液晶分子の液滴核生成シミュレーションを行い,液晶分子の核生成は非常に高い配向状態から始まり,一度分子配向が乱れた状態を経た後に,ネマチックな液滴が生成されることを明らかにした。これらの研究成果について纏め,査読付きの国際学術論文に2件報告した。実験系を再現するAtomisticなモデルを用いて上述の液晶相転移や核生成を研究するためには,モデルの点電荷同士の相互作用を高速に計算する必要がある。今年度はLinear-combination-based isotropic periodic sum (LIPS)法と呼ばれる高速に点電荷同士の相互作用を計算する手法において,高速フーリエ変換を組み合わせた計算方法を提案し,水バルクや気液界面系における精度や計算速度について調べた。これらの結果については査読付き国際学術論文へ第2著者として1件報告した。また,上述の研究内容をさらに発展させるために,University of the Philippines Diliman校のRicky Nellas教授とInstitute of Pharmaceutical and Structural BiologyのMatthieu Chavent博士を訪問し,液晶の相転移や核生成における解析方法についてディスカッションを行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
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