研究課題/領域番号 |
16J06169
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢本 昌平 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | トカマク / 不純物 / タングステン / SOL / ELM / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,核融合炉設計に使用できる信頼性の高い不純物輸送コードを開発することである.本目的達成にけた研究の実施状況は以下のとおりである. (1)SOLPS-IMPGYRO統合コードのさらなるモデル高度化:2016/9/12-9/30にかけて,フランスのITER機構にて,ITERにおけるELM発生時の非定常プラズマ中でのタングステン輸送計算を行うために,両コード間にて計算モデルの高度化を行った.おおむね高度化の作業は完了し,実際にITER装置でのELM発生時のプラズマ・不純物輸送計算に着手中である. (2)既存の不純物輸送コードとIMPGYROコードのベンチマーク:ITER機構の協力のもと,不純物輸送コードDIVIMPとIMPGYROコードの計算結果の比較を行った.結果,既存のコードでは再現できていなかったPrompt redepositionと呼ばれるラーマ旋回に起因するダイバータ板近傍での現象を,IMPGYROでは計算可能であり,さらにその効果が炉心プラズマへのタングステンコア蓄積量の評価に大きな影響を与えることが示された. (3)タングステン壁装置での実験結果との比較:核融合科学研究所と共同で,ヘリカル装置LHDのタングステンの壁面堆積分布の実験結果とIMPGYRO計算結果の比較を開始した.また,(1)でも述べたように,ITERの運転時のタングステン不純物輸送の予測計算にも着手しており,ELM時ではない定常運転において,現状の物理モデルでは,ITER装置においてタングステン不純物がコアへと殆ど浸入しない運転シナリオが存在する可能性があることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SOLPS-IMPGYROコードの高度化,他不純物輸送コードとのベンチマーク,およびに実験結果との比較に着手等,計画通り進展している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きITER機構の研究者と共同で,不純物輸送コードDIVIMPとIMPGYROとのベンチマークを進め,タングステン輸送過程の理解を進める.また,開発中であるSOLPS-IMPGYRO統合コードによるITER装置でのELM発生時のタングステン輸送過程を明らかにする.
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