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2017 年度 実績報告書

応力により変形する柔軟性ナノ空間の創製と応用

研究課題

研究課題/領域番号 16J06543
研究機関東北大学

研究代表者

野村 啓太  東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワード柔軟性多孔体 / 吸着 / 電気化学 / シミュレーション / グラフェン
研究実績の概要

1.計算化学的手法を用いた、変形する柔軟性ナノ空間での吸脱着現象の熱力学的記述
本年度では、粒子径1~2 μmのゼオライト鋳型炭素(Zeolite templated-carbon、ZTC)の粒子が機械的に30%ほど変形させても可逆的に復元する様子をSEMにより観察することに成功した。加えて、H2O蒸気の相対圧力0.74、298Kの密閉容器内にてH2Oを吸着したZTCを圧縮し、H2Oを脱着させる実験を行い、ZTCを変形さるために必要な仕事と、その圧縮時に脱着した水の脱着量から、脱着熱を計算した。その結果、ZTCを変形させのに必要な仕事に対し、発生する脱着熱上回ることが分かった。この現象は、機械的な仕事により熱を回収(あるいは発生)させる熱機関としての応用が期待できる。
2.変形する柔軟性ナノ空間の液相吸着への展開
柔軟なナノ空間の弾性的変形による性質変化の考え方は、液相にも展開が可能である。しかし、液相の吸着に関しては、吸着質の拡散性の問題から、ZTCと同じく柔軟に変形し、かつ細孔サイズの大きな柔軟性多孔体、グラフェンメソスポンジ(GMS)に着目し研究を行っている。
本年度では上述の液相における電極として利用するために、もともと粉体であるGMSを厚さ0.2 mmほどのシート状にすることに成功した。圧縮試験により、このシートの応力歪み曲線を測定したところ、ヤング率が0.030-0.070 GPaほどであることが分かった。また実際にこのシートを使用して勇気電解液系にて電気化学測定を行ったところ、0-4 Vの操作電圧において電気二重層キャパシタとして問題なく動作することを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

水を吸着した状態のZTCを圧縮することで水が脱着し、熱をまわりから吸着するのでは無いかという予測を打ち立てた。現在、この脱着するという現象そのものについてはシミュレーションにより起こりうることを確認している。また実際に脱着によりまわりの水蒸気圧が上昇することも実証済みである。しかし、実際に熱の出入りがどのような形で起こるかについては確認できていない。
液相での電気化学測定においては、電極として使用できる柔軟な多孔体の開発に成功し、実際に電気二重層キャパシタとして使用できることを確認した。ただし、ナノ空間を変形させながらの測定がまだできていない。

今後の研究の推進方策

熱の出入りについては、現在測定に使用している試料の量が少なすぎて、うまく検出できていない。今後、測定する系の改良を行い、より多量の試料を用いて、熱の出入りの検出を行う。
液相での吸着についても、標準的なセルでは試料を変形させることができないため、特別に作製したセルを使用する。圧縮時の拡散性の変化や電極の接触抵抗等の影響を鑑みて、本年度作製できた電極シートを用いて計測を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Formation mechanism of zeolite-templated carbons2017

    • 著者名/発表者名
      Nishihara Hirotomo、Imai Katsuaki、Itoi Hiroyuki、Nomura Keita、Takai Kazuyuki、Kyotani Takashi
    • 雑誌名

      Tanso

      巻: 2017 ページ: 169~174

    • DOI

      https://doi.org/10.7209/tanso.2017.169

    • 査読あり
  • [学会発表] Unique properties of graphene-based mesoporous carbon2017

    • 著者名/発表者名
      Keita NOMURA, Hirotomo NISHIHARA, Tomoya SHIMURA, Shunsuke KOBAYASHI, Takashi Kyotani
    • 学会等名
      International Forum on Graphene
    • 国際学会
  • [学会発表] Tough and elastic graphene-based nanoporous material2017

    • 著者名/発表者名
      Keita Nomura, Hirotomo Nishihara, Tomoya Shimura, Toshiro Asada, Naoya Kobayashi, Takashi Kyotani
    • 学会等名
      7th international conference on CARBON FOR ENERGY STORAGE AND ENVIRONMENT PROTECTION
    • 国際学会
  • [学会発表] Unique Properties of Sponge-Like Mesoporous Carbon with Coalesced Graphenes2017

    • 著者名/発表者名
      Keita NOMURA, Hirotomo NISHIHARA, Tomoya SHIMURA, Takashi KYOTANI
    • 学会等名
      International ERATO Itami Molecular NAnocarbon Symposium 2017
  • [学会発表] グラフェンから成る多孔質炭素の特異な性質2017

    • 著者名/発表者名
      野村啓太
    • 学会等名
      第55回炭素材料夏季セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] グラフェンからなる多孔質材料の電気化学キャパシタへの応用と高温・高電圧下における耐久性2017

    • 著者名/発表者名
      野村啓太, 西原洋知, 浅田敏広, 小林直哉, 京谷隆
    • 学会等名
      第44回炭素材料学会年会

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公開日: 2018-12-17  

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